米ドル/円 日足

週間予想レンジ:101.50~105.00

メインストラテジー:押し目買い

・原油急落でパニック相場のクライマックスをもたらした疑い
・株安・円高の一時「突っ込み」があっても平均へ回帰する公算
・円高加速の条件にドル全体の上昇を挙げられるが、目先欠如

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週大幅続落、今朝大きな「窓」を空けてから104円関門割れを果たし、2016年11月安値の割り込みで地合いの一段悪化を示唆。米長期金利や原油価格の急落でコロナショックの一段拡大を警戒せざるを得ない状況だが、パニック相場のクライマックスの可能性も大きく、オーバーシュートの疑いも一段と濃厚になってきた。

2016年11月以降、週足において、2018年3月第3週を除き、米ドル/円は105円大台以下の大引けがなかった上、月足において、106円大台以上の大引けを維持してきた。今回の「突っ込み」があっても週足にて105円以上の大引け(或いは105円に近い水準)の可能性がなお示唆され、完全たる円高トレンドへ転換するには、もうひとつ「壁」の突破が必要になってくる。

その「壁」とはユーロ/円をはじめ、主要クロス円において整合的な円高進行である。ユーロ/円における円高進行はユーロ安が欠かせないが、目先ユーロ対ドルの急上昇でみられるように、ドル全体(ドルインデックス)の急落がむしろ主要外貨の上昇をもたらし、クロス円における円の上昇を抑え込んでいる。

ゆえに、今朝の「窓開け」は、連続2週間の大幅下落が続いた後、週初の出来事なので、一旦クライマックスを迎える可能性がある。この場合、まず「窓埋め」の値動きで105円関門の回復を目指し、その後安値圏での保ち合いに留まるだろう。

今週終値をもって105円関門を維持できれば、大型レンジ局面の延長が示唆される上、一時の下放れが再度「ダマシ」のサインと化し、今後地合いの一段好転に寄与しよう。

反面、105~106円は継続的に抵抗ゾーンと化し、場合によっては3月高値を起点とした下落波のさらなる延長を覚悟しなければならない。2016年11月安値の101.16円の再打診もあり得る上、コロナショックの一段悪化で100円の心理大台のトライも覚悟する。

パニック相場収束の有無、米株次第の側面が大きいが、米長期金利(10年国債利回り)の下げ止まりが前提条件だ。

今朝米10年国債利回り先物の一時0.5大台割りこみ、テクニカル上完全な「行き過ぎ」を示しただけに、パニック相場のクライマックスはすでに迎えたか、近々迎えることを覚悟。この意味では、仮に今週切り返しの先行があっても、頭重い局面は変わらない。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:64.50~69.50

メインストラテジー:押し目買い

・コロナショックで大きく売られ、今朝の安値再更新はパニック相場を反映
・豪ドル対ドルの底打ち、一旦確認されており、ドル/円次第の側面が大きい
・そもそも昨年8月安値の割り込みは行き過ぎだったので、自律反発に期待

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

コロナショックで大幅下落、昨年8月安値69.95円を割り込み、2013年高値105.52円を起点とした大型下落波を更に延長させた。先週安値圏で大きく反乱、今朝米ドル/円の安値更新につられ、再度「窓」を空けてから安値を更新、下落波の一段延長を果たす。

もっとも、豪ドル/米ドルや米ドル/円の両方から作用した結果、豪ドル/円の安値更新をもたらした。豪ドル対米ドルの下落も2011年高値から継続され、コロナショックをもって最終局面に迎える可能性が大きいことは先週の指摘の通り、先週豪ドル/米ドルの切り返しでその兆しを点灯した。

従って、豪ドル/円の安値再更新自体を引き続き行き過ぎたサインと見なし、ここから継続的に安値トライできるかどうかは今週の焦点であることも変わらない。

米ドル/円の安値トライ自体、「行き過ぎ」の兆しを露呈し、パニック相場のクライマックスといった可能性を排除できない以上、まず今朝の形成した「ギャップ」を埋め、地合いの一段悪化を回避できる公算。

もっとも、継続的な安値更新さえ回避できれば、自律反発のニーズの高まりが予想され、目先リバウンドしやすい環境におるかと推測される。この場合、2月半ばからの急落に対するスピード調整の範疇に留まるが、昨年8月安値に対する更新も一時に留まり、また安値更新があっても下落モメンタムの加速を回避できるなら、大きな意味合いを持つ。

結果的に、本来先週の値動きで見られる「ダマシ」のサインは再度延長され、また後ずれになる可能性が大きいが、形成されていく公算がなお大きいとみる。

言ってみれば、テクニカル的にも、市場センチメントから見ても、今朝の「窓明け」で究極な「陰の極み」の状況におり、米株の歴史的な急落とともに、何らかのきかっけでこれからリバウンドを果たす可能性を無視できない。

原油や米長期金利価格の行き過ぎた下落がもたらした混乱、豪ドル/円に与えるインパクトが目先の程度に留まるなら、先週からの見方は維持される。

とはいえ、今週あらゆる反発があってもスピード調整に留まり、ベアトレンドの否定に程遠いだろう。71~72円といった抵抗が厚く、一旦切り返しがあっても再度頭打ちされやすく、強くても72円半ばに留まる公算。

だが、底割れさえ回避できれば、大きなサインの1つと見なされ、底打ちの形成に時間がかかるほうが、今度本格的なリバウンドの土台に寄与するから、今週の値動きを丁寧にフォローしていきたい。