米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.90~109.70

メインストラテジー:レンジ取引

・中国新型肺炎の広がりで一旦リスクオフ
・現段階の影響はなお限定的だが、これから状況次第で広がる可能性も
・しかし、危機の本質は同じ、マーケットの学習機能の発達で今回は早期収拾か

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大幅反落、本日「ギャップ」を付けて続落、リスクオフの円高が目先勢いを増す。中国の新型コロナウイルスの広がりで一旦円買いが進み、目先の109円関門割れを含め、状況次第でさらなる円高の余地ありとみる。

一方、米ドル/円のリスクオン/オフはあくまで市場センチメント次第なので、結局は株次第、特に米国株次第の公算が大きい。先週や目先を含め、米株や日経平均株価は崩れておらず、ブル基調を維持しており、マーケットは冷静であることを示唆する。

その背景にはマーケット自体の学習機能が効いているかと思われる。2003年のSARS時は日経平均の下げ幅が限定的だったこと、またその後、上昇したことが記憶に新しく、米国株のブル基調が崩れない限り、日本株も底固い推移するだろう。円のみリスクオフの値動きになるはずもないから、パニック的な反応を回避できるだろう。

根本的な背景として、やはり市場内部構造にある。度々指摘してきたように、米ドル/円は昨年8月安値から上昇波に復帰しており、これからドル高・円安の余地を大きく拓くから、目先の危機による変動をあくまで途中のスピード調整と見なすべきだ。

米ドル/円の内部構造が変わっていない以上、今回の危機で出遅れたロング筋に参入の好機を提供してくれていると言える。

既述のように、1月第1週の大陽線、強気リバーサルのサインを点灯、また昨年10月末安値に対する一時的な下値更新が「ダマシ」であったことが証左された。事実上「フォールス・ブレイクアウト」のサインを果たしたから、その後昨年年末高値に対する高値更新自体は当然の成り行きであった。前記のように、目先は途中のスピード調整とみる場合、年初来安値の更新なしではブル基調は維持される。

目先の支持ゾーン、108円関門~108円半ば前後に集中するだろう。底割れさえ回避できれば、再度109円台後半をトライできる公算。一方、事態の収束は時間がかかる見通しで、今週再度切り返しをできてもあくまでレンジ変動の一環と見なし、再度頭重くなることも想定される。しばらく中段保ち合いの継続を有力視。

休むも相場。出遅れたロング筋を含め、性急な押し目を避けるにも一手、またレンジ取引が妥当であろう。材料次第でまた値幅の拡大も想定されるが、年初来安値107.64円の更新さえ回避できれば、ブル基調が維持されるといったメインシナリオは変わらない。

とはいえ、何らかの好材料なしでは1月高値110.30円を更新するまで時間がかかり、保ち合いの長期化も覚悟しておきたい。目先の焦点は本日オープン時にて付けた「ギャップ」(108.79円~109.17円)を早期回復できるかどうかにあり、また回復があっても109円後半の抵抗が強いとみる。より鮮明なサインの点灯を待ちたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:73.90~75.50

メインストラテジー:レンジ取引

・米ドル/円次第なので、目先一旦リスクオフに傾く
・とはいえ、年初来の安値更新なしでは内部構造はなお維持される
・73円台はメインサポートゾーン、維持できればブル基調は不変

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大幅反落、上昇波の一旦中段を示唆。米ドル/円と同様、新型肺炎の件でリスクオフに傾き、目先の値動きを含め、途中のスピード調整を深めていることが確認される。一方、米ドル/円次第というか、米ドル/円と同様、基本的な考えやメインシナリオは変わらない。市場の内部構造が変わらない限り、見通しを修正する必要もなかろう。

この意味では、年初来安値更新の有無、また更新があっても本格的な下放れをできるかどうかは大きな焦点として浮上するだろう。

なにしろ、既述のように、1月第1週の足型は典型的な「スパイクロー」のサインを点灯、また昨年12月安値に対する一時の安値更新自体が典型的な「ダマシ」だったことを証左した。そのため、本来、続伸は当然の成り行きと見なし、また昨年年末高値に対する更新も当然視される。

となると、年初来更新なしでは、同視点を修正する必要がなく、また仮に一時の下放れがあっても、73円台の支持さえ確認できれば、再度「ダマシ」のサインを点灯する可能性も大きい。もっとも、昨年年末までの大幅続伸、同11月高値の更新をもってブルトレンドを一段と証左したわけだから、材料次第の値幅拡大があってもメイン構造を修正できない公算だ。

昨年11月第2週から12月第一週まで、大きな「インサイド」のサインを形成していたために、その後の高値更新自体が上放れを決定させた。また上放れが確認された以上、ブル基調は維持される。従って、仮に年初来の安値更新があっても、一時に留まり、本格的なベアトレンドへの転換はなかろう。

また繰り返しとなるが、昨年8月26日のサインが果たした「リバーサル・デー」の役割が大きく、同9月高値のブレイクをもって最終認定が図られたことは繰り返し指摘した通り。

ゆえに、ブルトレンドは76円台後半の打診があっても通過点に過ぎず、上値余地の拓きはこれからといったメインシナリオは維持される。目先の危機でしばらく中段保ち合いが余儀なくなれるが、中長期スパンにおける押し目買いの好機に恵まれるか。