買えなかった人のための、買う機会の提供なのか!?

英ポンド/円は、12月17日から急反落となった。それについては、英国政府が12月17日、EUとの通商協定で合意が成立するかどうかに関わらず2020年12月末に終了予定の移行期間を延長しない方針を明らかにしたことで、改めて「合意なき離脱」の可能性が浮上したことが「きっかけ」との理解が一般的だろう。

「きっかけ」は確かにそういうことだっただろうが、基本的には「上がり過ぎ」の反動だろう。英ポンド/円の90日MA(移動平均線)からのかい離率は12月16日には7%まで拡大した(図表1参照)。経験的にこれは「上がり過ぎ」懸念が強いことを示すものだ。

【図表1】英ポンド/円の90日MAからのかい離率(2010~2019年)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

しかもそんな英ポンド/円の上昇は、金利差からかい離したものだった(図表2参照)。金利差などの裏付けがないままの英ポンド/円の「上がり過ぎ」が、上述のような「きっかけ」を受けて反動が本格化したということだろう。

【図表2】英ポンド/円と日英10年債利回り差 (2016~2019年)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

ではもう英ポンド/円上昇は終わったのかといえば、それは違うのではないか。12月18日付けレポート「英ポンド上昇トレンドの具体的イメージ」でも書いたように、英ポンド/円は52週MAを大きく上方向にブレークした(図表3参照)。

経験的にそのような動きは一時的ではなく継続的、つまり英ポンド/円は上昇トレンドが展開している可能性が高そうだ。

【図表3】英ポンド/円と52週MA(2000~2019年)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

上昇トレンドが展開する中でも、相場だから一時的に下落することはあるが、経験的にはそれは52週MA前後までがせいぜい。足元の英ポンド/円の52週MAは139円程度なので、「上がり過ぎ」反動に伴う一時的な英ポンド/円の下落は139円前後がせいぜいといった見通しになる。

では、英ポンド/円は8月から上昇トレンドが展開していたものの、それが今週の147円で終わった可能性はないだろうか。12月18日付けレポートで書いたように、2000年以降の実績を見る限り、英ポンド/円の上昇トレンドがたった4ヶ月で終わったことはない。そうであれば、12月17日からの英ポンド/円の反落は、あくまで一時的な可能性が高いだろう。

仮に、上昇トレンドが展開する中での一時的な下落ということなら、それは普通なら新たな「買い場」の可能性と考えられるだろう。英総選挙後の英ポンド/円上昇は急なものだった。買いたいと思った人に、改めて買う機会を提供しているということではないだろうか。