11月中の150円割れは実現可能なのか
米ドル/円は先週にかけて4週連続で52週MAを上回った
米ドル/円は9月に一時140円割れまで下落する中で、52週MAを大きく、長く割り込んだ。経験的には、このような動きは一時的ではなく、複数年の継続的な動き、つまり米ドル安・円高トレンドが展開している可能性が高いことを示すものだ(図表1参照)。
そうであれば、トレンドと逆行する一時的な動き、つまり今回の場合なら米ドル高・円安となるが、それは52週MAを大きく、長く上回らない程度にとどまる可能性が高い。
米ドル/円は先週にかけて4週連続で52週MAを上回った。米ドル安・円高トレンドが展開する中での一時的な米ドル高・円安ならそろそろ終わり、この1~2週間のうちにも再び52週MAを下回る見通しになる。別な言い方をすると、米ドル/円はこの11月中に150円割れに向かうという見通しになるが、果たしてそれは実現するのだろうか。
11月中に150円割れに向かうのか、日米10年債利回り差から考える
最近の米ドル/円は、基本的に日米10年債利回り差との相関性の高い状況が続いてきた。それを参考にすると、米ドル/円の150円割れには、日米10年債利回り差米ドル優位の3.2%未満への縮小が必要になりそうだ(図表2参照)。
日米の10年債利回りは基本的に連動する。このため、日米10年債利回り差米ドル優位の3.2%への縮小は、米10年債利回りの4.2%への低下、そして日本の10年債利回りの1%へ低下という組み合わせが現実的なシナリオと予想される(図表3参照)。では、トランプ氏の大統領選挙勝利以降、長期金利上昇リスクが目立つ中で、それと反対方向となる米10年差利回りの4.2%割れへの低下が果たして本当に起こるだろうか。
米10年債利回りも、9月にかけて大幅に低下した中で、52週MAを大きく、長く下回った(図表4参照)。これは、金利低下トレンドが展開している可能性が高いことを示すものだけに、それと逆行する一時的な上昇は自ずと限られるとの見方が基本になる。
米ドル/円と同じく、米10年債利回りも先週まで4週連続で52週MAを上回った。米金利低下トレンドへの転換が間違いでなければ、足下4.17%程度の52週MAを再び割り込む動きとなるのもそれほど先ではないという見通しになる。そして、大幅な米金利低下が起こるなら、日米金利差米ドル優位も大きく縮小し、米ドル/円の150円割れも正当化されるだろう。
ただし、トランプ氏の政権返り咲きが確定し、普通に考えると長期金利は上昇リスクの可能性が高い。それと正反対の大幅な米金利低下が、果たして起こるだろうか。そうでなければ、年末にかけて広がりやすい米ドル買い・円売りポジション手仕舞いが、日米金利差とはかい離した米ドル安・円高を実現させるかが焦点になりそうだ。