英ポンド/米ドル (1. 25800〜1.33000) 1月24日〜1月30日まで

アナリシス:

皆さん、こんにちは!英国のEU離脱協定案を巡り、英下院議会でメイ首相の案は15日夜(日本時間16日早朝)に否決され、第2案のプランBが21日に発表されました。

同協定に含まれるアイルランド国境のバックストップ(安全策)について、各党派の要望を聞いた上でEUと再協議するほか、将来的なEUとの貿易関係について下院の発言権を拡大するとの文言が盛り込まれています。あくまで同協定への支持獲得に努める姿勢を示したものの、この代替案(プランB)が29日に予定されている採決で可決される見通しは立っていません。

ここで、これまでのポンドの動きをおさらいしましょう。

まず、先週行われた下院投票では、否決された後、一気に買い戻しの動きとなりました。英ポンド/円の1時間足で確認するとこのような動きです。

【図表1】英ポンド/円(1時間足)
出所:筆者作成

下院での否決の翌日にメイ首相の不信任案が提出されましたが、こちらも否決。マーケットの反応に大きな上下はなく、否決後はジリ高の転換となりました。

これらの動きから今後のポジショニングをどうするか考えてみましょう。

まず、29日のプランBが可決されたら、一気にポンド買いになる可能性が高いと想定します。また、例え否決されたとしても離脱延期の流れとなるのであれば、この場合もポンド買いの動きになる可能性が高いと想定します。

問題は、プランBが否決され2度目の国民投票実施の可能性が高くなった場合と、メイ首相が辞任して総選挙となった場合。このいずれかのパターンになった場合は、再び下落する可能性を秘めています。

メイ首相のプランBの内容を見ると、メイ首相は最初の協定案が否決された後、スコットランド独立党(SNP)、自由民主党、ウェールズ党、緑の党の4野党の首脳や、下院の主要議員と協議。首相はその結果、政府に対し6項目の要望が寄せられたと説明しています。このうち、合意なきEU離脱の可能性の排除と2度目の国民投票実施の2項目については、あらためて拒否する姿勢を示しています。

他方、残りの4項目については歩み寄りが可能としています。まず、「バックストップ」については、下院の要望を見極めた上でEUと再協議する方針です。また、将来的な対EU関係については、下院の特別委員会にEUとの交渉内容を説明し、意見を聞くとの見解を示しています。

ただ、対EU交渉に影響を与えないよう、同委とのやり取りは機密とするそうです。また、スコットランドや北アイルランド、ウェールズの各自治政府や企業の意見もより多く取り入れる方針を強調しました。

このような内容の代替案が29日に可決されるか、否決されるのかで、ポンドの流れが変わる可能性は大きいといえます。

向こう1週間に発表予定の重要指標は次のとおりです。

24日(木)
21:45  EUR・ECB政策金利
22:30  EUR・ドラギECB総裁定例記者会見

30日(水)
22:15  米・ADP雇用統計
22:30  米・GDP速報値

31日(木)
4:00   米・FOMC、政策金利発表、
4:30   米・FRB議長定例記者会見

 

それでは、英ポンド/米ドルの月足チャートです。

【図表2】英ポンド/米ドル(月足)
出所:筆者作成

トレンドレス中段。月足はトレンドレスを維持していますので、このまま一旦MA、ミドルライン付近まで上昇して、その後も+2σまで素直に上昇するのか、それとも揉み合うのかが想定できます。

続いて、週足チャートです。

【図表3】英ポンド/米ドル(週足)
出所:筆者作成

トレンドレス中段から上段に上昇中と認識します。1.3150付近にレジスタンスラインがありますが、+2σまで上昇が継続するかどうかの場面となります。

最後に、日足チャートです。

【図表3】英ポンド/米ドル(日足)
出所:筆者作成

短期的には上昇トレンド。大きく見たらトレンドレス上段。週足のレジスタンスでもある1.3150近辺で一旦止まるのか、そのままバンドウォークで週足+2σまで上昇するかの場面となります。

以上の分析から、エントリーポイントとしては以下のとおりです。

予想レンジ:1.25800〜1.33000

メインストラテジー:

買いをするなら、
・1.2970~1.2990付近の日足MAもしくはミドルで、1時間足の−2σから中段保合を根拠にエントリー
・1.3080を上にブレイクしたら、短期足でレジサポ転換もしくは押し目を根拠にエントリー

売りをするなら、
・1.3080~1.3110の日足トレンドレス上段逆張り根拠にエントリー
・1.3100~1.3230の週足トレンドレス上段逆張りを根拠にエントリー