英ポンド/ドル (1.22200〜1.33000) 1月10日~1月16日

アナリシス:

皆さん、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、年初早々に大暴落があり、市場参加者には驚きの2019年の幕開けとなりました。英ポンド/ドルも下落につられて一時大きく下げましたが、翌日には元の価格に戻るという動きになりました。

来週は英ポンドの動向に関わる大きなイベントが待っています。

9日から英下院で欧州連合(EU)離脱協定を巡る議論が再開されました。15日に同協定を巡る投票が予定されていますが可決の目途はいまだ立っておらず、同協定が否決されれば合意なしに英国はEUを離脱する可能性が高まるとBBCが報じています。

メイ首相が2018年11月にEUと合意した、離脱協定の発効には英議会の承認が必要となります。そのため12月中に下院の投票を行う予定でしたが、勝算が低かったことから延期を決定しました。

野党各党が同協定に反対しているだけでなく、同協定に含まれるアイルランド国境のバックストップ(安全策)には、与党・保守党のEU離脱強硬派と同党に閣外協力する北アイルランド・民主統一党(DUP)も反対の姿勢を取っています。メイ首相はEUからバックストップへの懸念を払拭する法的確証を得る方針ですが、現時点でまだ成果は見られていません。

また、下院では8日、英国が合意なしにEUを離脱した場合、政府が下院の承認なしに税制を改正できないとする法案が賛成303票、反対296票の僅差で可決されました。

この法案は、保守党と最大野党・労働党の議員が共同で提出したもので、20人の保守党議員が政府に造反し賛成票を投じました。同法案には合意なしの離脱を回避する狙いがあるものの、実質的にこれを阻止する効力はありません。

離脱協定が否決された場合、政府は21日以内にその後の方針を議会に示し、その後7日以内に具体策を提案することを英EU離脱法によって義務付けられています。ただ、下院では先に、離脱協定が否決されれば下院の投票でその後の方針を決めることもできるとの法改正が可決されていますが、実際にどのような結果になるかは誰にも分からない状況と言えます。

英国は3月29日にEUを離脱することが決まっており、かねてよりメイ首相はこの期限を厳守する方針を示しています。しかし可能性としては離脱延長も否定できず、合意なしの離脱下院での再投票総選挙の実施2度目の国民投票の実施も考えられますので、これら5つのパターンの場合、どのように英ポンドが動くのかを想定して、来週を待ちたいと思います。

 

向こう1週間で発表予定の重要指標

10日(木)
21:30 EU・ECB理事会議事要旨
26:00 米・パウエルFRB議長発言

11日(金)
18:30 英・GDP前月比
22:30 米・消費者物価指数

16日(水)
22:30 米・小売売上高

 

それでは、月足チャートです。

【図表1】英ポンド/ドル(月足)
出所:筆者作成

トレンドレス下段。年始の暴落で−2σタッチから上昇しています。来週の下院の投票次第で再度下落するか、そのまま上昇していくかが考えられます。上昇した場合は、MA、ミドルライン付近までと想定します。最大の下落幅としては1.2220付近と見ます。

 

続いて、週足チャートです。

【図表2】英ポンド/ドル(週足)
出所:筆者作成

一旦ダウントレンドと認識したものの、大きく戻してきている状況です。このままMAを上抜けした場合、トレンド終了と認識します。

 

最後に、日足チャートです。

【図表3】英ポンド/ドル(日足)
出所:筆者作成

週足をダウントレンド認識とすれば、中段保合い。トレンド終了とみなした時点で日足はトレンドレスのレンジと判断します。現在レンジ上段に位置しますので、このままズルズルと上昇するのか、一旦下げるのか、どちらかの動きとなります。来週までは大きく動きづらいので、様子見が一番と言えるでしょう。

 

上記の分析から、エントリーポイントとしては以下のとおりです。
予想レンジ:1.22200〜1.33000

メインストラテジー:

買いをするなら、
・1.2220付近、もしくは1.2420付近の月足トレンドレス下段を根拠にエントリー
・1.2800を上にブレイクしたら、短期足を使って、押し目買いを根拠にエントリー
(但し、このポジションは15日の下院投票までに手仕舞うことをおすすめします)

売りをするなら、
・1.2800付近で日足トレンドレス上段逆張りを根拠にエントリー