謹んで新春のお慶びを申し上げます。

いよいよスタートした2017年相場は、前年に行われた米大統領選以降の流れを引き継ぐ形で、米・日株価やドルなどが強めの展開となっており、昨年の年初とは真逆の比較的明るいムードに包まれています。

振り返れば、昨年の年初に筆者は「年前半はドル買い優勢の展開になりにくく、ドル/円は調整含みの展開を続けやすい。逆に、年半ばから年末に向けては米国経済に成長度合いと米利上げのペースに弾みがつき、ドル/円は調整一巡からV字型で切り返し、大きく水準を切り上げて行く」という見方を本欄で示しました。結果的には、ほぼ想定通りの展開となったわけですが、それもひとえに米国経済のファンダメンタルズを重視し、その変化の行方を想像することに常に注力してきた結果であると考えます。

その意味からしても、2017年は米国経済がその成長度合いをさらに加速させる年になると個人的には考えており、ともすると米国経済はある意味で「ややバブル的な様相を呈することにもなり得る」と見ています。この1月下旬から始動する次期トランプ米政権の経済改革に対する期待が大きいことは言うまでもなく、少々型破りで荒削りに見える改革案のすべてが実現することはないにせよ、その一部が実現するだけでも元々強みを増してきつつあった米国経済にとっては大きな刺激となるでしょう。

思えば、昨年は11月の米失業率が4.6%まで低下するなど、米国の雇用情勢が目に見えて劇的に改善した年でした。自発的離職者の数が高止まりしている状況を見ても、ますます"売り手市場"の状態になっていることがつぶさに見てとれ、より多くの人々が今後の賃上げ期待を膨らませているものと推察されます。それは、すでに改善傾向にある米個人消費を活性化させ、行く行くは米国の生産(製造)活動の活発化にもつながるものと大いに期待されます。実際、昨日(3日)発表された12月のISM製造業景況指数を見ても、新規受注、生産、雇用ともに上昇傾向が鮮明になってきていることがわかります。

結果、ドル/円は昨日も一時118.61円まで上値を伸ばし、昨年12月15日に付けた直近高値=118.67円に迫りました。昨年12月半ば以降は一旦調整含みの展開となり、12月30日には一時116.03円まで下押す場面もありましたが、そこは21日線にしっかりとサポートされて下げ止まり、ある意味で格好の押し目を形成することとなったわけです。

当然、目先は118.60-70円処で上値が押さえられがちになるものと思われますが、同水準を上抜ければ次に119円台半ばから120円といった水準が視野に入ってくるようになるものと見られます。120円の大台に乗せるには、もうひと材料欲しいことも事実ではありますが、その意味では本日(4日)のNY時間に公表される昨年12月13-14日開催分のFOMC議事録の内容に、まずは注目しておきたいところです。FOMC参加メンバーらの今年の利上げ見通しは3回が中心となりましたが、こうした見通しに変化した背景にどのような議論があったのかを確認することで、ドル強気の見方が一層強まる可能性もあるものと思われます。

その一方で、ユーロ/ドルは昨日のNY時間帯に一時1.0340ドルまで値を沈める場面があり、昨年12月20日につけた直近安値の1.0352ドルをも下回ることとなりました。当面は下値リスクへの警戒が続くものと考えられ、1.0400ドル処をクリアに下抜ける展開となってくれば、いよいよ段階的に1ユーロ=1ドルを目指す流れが強まってくる可能性が高いものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役