東海道線の東京駅と東北本線の上野駅を結ぶ「上野東京ライン」が来月14日に開業予定で、昨日その試運転が公開されたとのこと。これは利用者も色々便利になりますが、最大のポイントはJRが、品川・田町に拡がる広大な車両基地と田端・尾久に拡がるこれまた広大な車両基地の双方を維持する必要がなくなることでしょう。東海道線と東北本線を繋げられれば、車両をプールするロジスティックスは大幅に効率化出来ますから、一つの車両基地で用は足ります。或る意味当然、田端基地を残して品川基地を整理して売却するそうで、その大きさ13ヘクタール。
わお!
JRって凄いですよね。日本最大の地主、しかも一等地ばかりを所有している地主ではないでしょうか。かつて、世界的に超有名な某プライベートエクイティ・ファンドのトップとランチを食べながら話した時、彼は最後にこう質問しました。「もし日本の会社一つ、どれでもまるごと所有出来るとしたら、どの会社が欲しい?」唐突なこの質問に、私は数秒考えてから「JR」と答えました。日本中の膨大な土地を、恐ろしく低い簿価で所有しており、その活用次第で強烈な価値を創れると考えたからです。この時はまだ、この上野東京ラインの話は出ていませんでした。まだまだ色々あるでしょうね。
さて、それではアメリカビジネスについて少々今日も書きます。当社グループのアメリカビジネスは、株式市場のボラティリティが上がったり、短期金利が上がると収益が増えること、そしてそのボラティリティも短期金利も、今は史上最低レベルにあることは一昨日説明しました。アメリカでは、金融危機後続いてきた量的緩和を閉じていこうとしています。市場に大量に供給してきた流動性を最終的には徐々に減らしていくことになります。浅い水溜まりと深い湖では、その水面は当然深い湖の方が滑らかで静かであるように、流動性がふんだんに供給されている株式市場は、ボラティリティが低くなります。これがここ数年間、アメリカの株式市場のボラティリティが史上最低水準まで下がってきた理由だと思います。従って、金融緩和が閉じていく場面では、段々とボラティリティが回復して来る筈です。
更に、米中央銀行がいつ金利を上げるかと云うことが、最近ではしょっちゅう議会などで議論されていますが、その頻度と深度はこれから更に大きくなっていく筈で、その中でもボラティリティは上がっていく筈です。そして最後に実際に短期金利が上がります。こう云う流れで、今後ボラティリティも金利も上がっていくので、当社グループのアメリカビジネスの収益環境は今後ぐっと良くなって行くことが期待されるのです。随分長くなりました。他にもコストカットや、そもそも顧客基盤がいいペースで成長していることなどがあるのですが、これはまた今度説明させていただきたいと思います。