噂や報道によると、公的年金GPIFは、日本株を大きく買い始めているとのこと。そのことが昨今の、アメリカ株市場は値段を下げても翌東京市場では株価が上がるという、いわゆるデカップリングを演じたり、日本株市場の安定を実現しているのでしょう。官製市場ではないかと云われることもありますが、私はいいことだと思います。

昨日のつぶやきに書いたように、アベノミクスの中で、日銀の大規模量的緩和によって、株や不動産など、値段の動くものの値段は上がってきました。アベノミクス前と比べて、東証時価総額はザックリ200兆円ほど増えましたから、個人による直接保有割合がこれもザックリ25%として、個人投資家の懐は全体で50兆円潤ったことになります。これが昨日のつぶやきで書いた内閣府発表の「地域の経済2014」によると、関東・中京・近畿圏に個人による株式保有が偏っており、その資産効果の恩恵の受け方も偏り、結果、関東・中京・近畿圏の消費の伸びが他地域よりもいいということになります。

トマ・ピケティの「21世紀の資本」では、長期的に見ると資本収益率は経済成長率よりも大きい、従って富の集中がどうしても起きるので、その再分配をすべきだ、と主張されています。トマ・ピケティの主張は、その再分配の手段として税を挙げている訳ですが、全国あまねく資本の大小に関わらず大勢の人が参加している公的年金が、結果として巨大な資本家となっており、その年金が株式投資をすることにより、トマ・ピケティ理論によれば経済成長を超えるリターンを長期的には達成でき、そしてそれを年金給付という形で分配されれば、資本の偏在という問題を、税とは別の手法で解決しうるのではないでしょうか。資産効果を全国民に行き渡らせる効果が、公的年金の株式投資には、少なくとも理論的にはありそうです。

全てが上手く順回転するか、どこかで大仕掛けが崩れるか。日本は中々興味深い理論実践に臨んでいると思います。要注目!でもやはり、見る阿呆より踊る阿呆の方がいいですね。