昨日のスイス中央銀行の動きには魂消(たまげ)ました。今まで何度も書いてきたことですが、為替レートにフェアヴァリューなんてありません。単に二つの国の間の為替の交換レートですから、動く時は動きます。株価から計算される時価総額=企業価値ではありませんが、時価総額が企業価値から大きくしかも長い間乖離することは出来ませんから、株価にはフェアヴァリューというものがあります。それが為替にはありません。
中央銀行の活動も、自国の為替レートをコントロールすることは大概不可能です。かつてはイギリスの中央銀行とヘッジファンドのソロスが戦って、ソロスが勝ったことがあります。最近では先月ロシアの中央銀行が大幅な利上げをしましたが、ルーブルの暴落を止めることは全く出来ていません。スイスの中央銀行はスイスフランを安く維持するためにユーロ買いの介入を続けて来た訳ですが、耐えきれなくなってそれを投げだし、一瞬にして30%以上スイスフランはユーロに対して高くなりました。中央銀行はヘッジファンドに負け、金利を操作しても自国通貨の暴落を止められず、或いは為替介入は無限には出来ないことをさらけ出しました。
この地球上で、本当に強い中央銀行は、自国通貨でほぼ無限にファイナンス出来る、アメリカと日本の中央銀行だけでしょう。それでも無制限に何でも出来る訳ではありませんが。しかしアメリカと日本は他国と違うと云うことは、きちんと認識する必要があると思います。それがこれからのマーケットの行方を考えていく上でも重要なポイントではないでしょうか。
昨日は、スイス中央銀行の唐突なアクションとスイスフランの大きな動きからマーケット全般の流動性が下がり、それがリスクを外す行動に結びつき、株は売られ、アメリカの国債も買われて米金利が低下し、それが円高を呼び、日本の株価も下がりました。この流動性の増減や、リスクに対する投資家の反応と、日米の特別性を両目で睨みながら、マーケットを考えていく必要があるでしょう。
今日は当社のコーポレートキャラクター、カブブ・カブリナ・カブナルドの発表の日だったのですが、この話はまた来週させていただきます。因みに私はカブリナがお気に入りです。ではまた!