週末に再び青森県を訪れました。ほぼ40年来になる友人が写真芸術家で、青森県(と秋田県)に関連する彼の作品が青森県立美術館で展示され、特別なレセプションも開かれることになったので、そのために青森に行きました。美術館の建物は美しく、青森EARTH2014と銘打った複数の作家の展覧会と常設展も素晴らしく、そしてもちろん友人の作品も堪能しました。

この機会に、青森の市内も探索しました。昨日、青函連絡船にも乗ってみました。とは云っても既に運行は終わっているので、実際の青函連絡船を博物館にしたメモリアルシップ八甲田丸に行ったのです。実際の操舵室・ブリッジも中々興味深いのですが、なんと云っても予想を超えた感動は、寒い船底にあるエンジンを見た時でした。ボートの船外機のような大きさのシリンダーがずらっと整然と並ぶ船底は、メカ好きの心をくすぐります。数えると一つの塊が、それが即ちエンジン一機なのですが、8つのシリンダーを二列抱えていました。要は巨大V型16気筒エンジンのようになっているのです。それが見える範囲で4機並列に並んでいました。即ち巨大64気筒エンジンが一望できます。圧巻です。それが一つのエンジン室で、公開されていないもう一つのエンジン室がそこに直列に繋がっているようなので、全部で128気筒。展示の説明を読むと1万2800馬力だったとのことですから、一つ一つのシリンダーが、100馬力のエンジンとなっている訳で、これは見た目の規模や迫力からも納得できます。

写真芸術家の友人も八甲田丸を訪れており、やはりこのエンジンに感動したとのこと。あとで知ったのですが、昨日は青函トンネルを新幹線が初試験運転した記念すべき日だったようです(12月7日がと云う意味ではなく、2014年12月7日のまさに昨日がと云う意味です)。青森県立美術館と云い、青函連絡船と云い、好奇心を持って生活していると、色々なことが起きて、様々なことに感動するものです。これからもそんなプチ感動の蓄積を大切にしていきたいと思います。

因みに写真芸術家の友人は、中・高・大と一緒なのですが、写真芸術の追究のために、大学卒業後一度も定職に就いたこともバイトをしたこともありません。芸術は売れない。芸術は厳しい。だから食べる術を覚えてしまうと、とても芸術追究は続けられなくなってしまう。彼はそう云ってました。実際昔は食べることにも随分苦労していたようです。

12年前、或る本の編集者が彼を知っていて、その本に私のインタビュー記事を書く時に、彼を、私のスナップ写真を撮るために連れてきました。もちろん完全な友情出演で、無報酬だから彼は来たのです。そしてその編集者の計らいで、囲み記事で彼と私のスペシャル・プチ対談をしました(2002年4月18日つぶやき「写真」参照)。私「なんでお前はそういう生き方するの?」彼「お前と一緒だよ」私には最初全く意味不明でした。彼続けて曰く「自分が可愛いからさ」-128気筒エンジンに感動するところも含めて、彼と私は似た者同士なのかも知れません。