去る12月4日、豪準備銀行(RBA)は政策金利のオフィシャルキャッシュレートを0.25%引き下げ、リーマン・ショック後の過去最低水準に並ぶ3.0%とすることを決めました。長らく続いた資源投資ブームがピークを迎えているとの見方もあるなか、将来的な景気後退(リセッション)のリスクから自国経済を守るため、年明け以降に一段の利下げを実施する可能性があると見る市場関係者も少なくありません。

結果、すでに豪ドルの金利面での魅力は一頃に比べて大きく低下しており、このところ国内個人投資家の間で"豪ドル離れ"の傾向が強まっていることを示すデータがあることも事実です。とはいえ、それでも足下の豪ドル/円相場は依然として強い基調が続いており、本日(12日)は一時的にも87.00円台に乗せる場面を垣間見ました。

果たして、今後の豪ドル/円相場には「乗る」べきなのでしょうか、それとも「降りる」べきなのでしょうか。ここで、下の図において2011年1月以降の値動きを、あらためて確認しておくことにしましょう。

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まず、目下の豪ドル/円は今年10月半ばあたりから一気に強まった円安傾向を背景として、強い戻り基調を続けていることがわかります。
ときに重要な節目として意識される21日移動平均線(21日線)は11月初旬に89日移動平均線(89日線)を上抜け、ほどなく200日移動平均線(200日線)をも上抜けました。さらに、12月に入って89日線も200日線を上抜け、これにより上から21日線、89日線、200日線という順に並ぶ「パーフェクト・オーダー(完璧な順番)」が完成しました。もちろん、これは強い基調を示すサインの一つです。

ただ、足下では少々過熱感が強まっていることも事実です。また、上方には2011年4月高値と2012年3月高値を結ぶ上値抵抗線(レジスタンスライン)が控えていることも確認できます。よって当面の焦点は、このレジスタンスラインを上に突き抜けることとなるのか、それとも強い抵抗に押し戻されることとなるのか、という点にあると言えるでしょう。

仮に、このレジスタンスラインを上抜けた場合は、2012年6月安値から同年8月高値までの上昇幅を同年10月安値に加算して弾き出される「N計算値」=88.52円が一つの上値メドとなります。同水準は2012年3月高値=88.63円にも近く、当面の目標水準としてはかなり有力と見ることができるでしょう。

折からの円安傾向はなおも継続しており、まして16日には衆院選の投開票が迫っています。選挙結果を受けて一段と全体的な円安傾向に拍車がかかる可能性もあり、さらに注目の米財政協議が一定の進展をみることとなれば、豪ドル/円にとっては強い追い風となることでしょう。

市場では今、豪著名エコノミストのアラン・オースター氏が日本経済新聞記者との会見で語った内容が話題です。それは「今、国際的に豪ドルの評価が高まり、欧州や中東の中央銀行が外貨準備に組み入れる動きを強めている」というもので、豪ドルはトリプルAの格付けをいただく国債の信用力をバックに「利下げがあっても、堅調な地合いが続く」との見解も示されていました。

世界的な金融緩和であふれたマネーが比較的安全な豪ドルに向かう流れは今後も継続するものと思われ、結果的に豪ドルの上値余地が一段と拡がる可能性は高いと見る向きも多いようです。