前々回(7月4日更新分)の本欄で、豪ドル/円の価格推移において強気のシグナルとされる「三役好転」の可能性が高いという点に触れました。そして、ついに豪ドル/円は一目均衡表の日足「雲」上限を明確に(終値ベースで2日連続して)上抜け、「三役好転」を達成したのです。

その後は、ある種の達成感を伴ってジリ安の展開となっていますが、リンク先の図表においても確認できるように、いまのところ日足「雲」上限を明確に下抜けることはなく、この日足「雲」上限が下値サポートの役割を果たしているものと考えることができます。

2012年7月12日には、一時的にも1豪ドル80.00円割れ寸前のところまで下押しましたが、そこには6月初頭から形成されている「上昇チャネル」の下限と一目均衡表の「基準線」が位置しており、それらが下値を支える格好となったことも見て取ることができます。

一方、目下のところ豪ドル/円の上値は89日移動平均線(89日線)にガッチリと頭を押さえられていることも確認できます。これは、言うなれば下図において「注目(赤字」としている過去の場面の"逆パターン"と考えることができるのではないかと思うのです。それはどういうことかと言いますと...。

図中にて「注目(赤字)」としている場面では、しばらくの間、豪ドル/円が一目均衡表の日足「雲」下限を明確に下抜けることなく保ち合いを続け、同時に上向きの89日線が下値をサポートするといった状態が続いていました。ところが、ひとたび日足「雲」下限を下抜け、同時に89日線をも下抜けると、そこから一気に下げが加速したのです。

仮に、目下の状況が当時の"逆パターン"であるとするならば、今後、豪ドル/円が上値の重しとなっている下向きの89日線を明確に上抜けたとき、そこから一気に上げが加速する可能性もあるということになるでしょう。

加えて、もう一つ注目してきたい点があります。それは、現時点において日足「雲」上限となっている「先行スパン2」に対して、以前より下方から「基準線」が接近し、本日(18日)時点で上に抜けたという事実です。一目均衡表の考案者である一目山人(ペンネーム)は、このことを「かなり大事な変化をはらんでいる」としているのです。

振り返れば、先に確認した「注目(赤字)」の部分においても、一目均衡表の「基準線」が「先行スパン2」に上方から接近し、ついには下抜けるという場面が見られます。その後、豪ドル/円の下げが一気に加速したことは先に述べたとおりです。

前回(7月11日更新分)の本欄では、中国の景気減速の実状と今後の景気テコ入れの可能性について触れました。もちろん、市場も追加利下げの可能性を含めた政策の「のりしろ」の部分に大いに期待している模様です。

こればかりは「いつ」、「どのような形」で目の当たりにすることとなるのか、まったく見当もつきませんが、5年に1度の共産党大会を間近に控えていることからして、「そう遠くない将来」、「相当にインパクトのある形」ということになるものと考えます。
もちろん、中国の景気底入れが明らかなものとなれば、それは豪ドルにとって相当に強い買い材料となることでしょう。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役