ゴールデンウィーク(GW)真っただ中とはいえ、外国為替市場と向き合う身にとっては、おちおち長期休暇を楽しんでもいられないというのが実際のところ。まして、明日(3日)から週末にかけての数日間は、主に欧米において外国為替相場を大きく揺るがしかねないビッグなイベントが目白押しです。ここで、その主なものに注目し、それぞれに潜む可能性やリスクなどを押さえておきたいと思います。

<5月3日>

●スペイン国債入札

先週、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がスペインの信用格付けを2段階引き下げてから初めて実施される入札です。これまでスペイン国債の入札というのは、スペイン国内金融機関の積極的な応札によって支えられてきたことが明らかとなっています。その資金源は、2011年12月と2012年2月に欧州中央銀行(ECB)が実施した3年物資金供給オペ(LTRO)にあったわけですが、市場には「どうやらその資金もそろそろ底をつきはじめているのではないか」との見方があり、場合によっては今回の入札が不調に終わり、市場が動揺する可能性も指摘されています。

●ECB理事会

今回、政策金利は据え置かれる見通しですが、スペインの格下げや同国のリセッション突入などといった波乱要因が渦巻くなかで、理事会後にドラギ総裁がどのような見解を述べるかが大いに注目されるところです。なお、市場では3回目のLTROの可能性に触れるのは時期尚早(期待薄)との見方が強いようです。

<5月4日>

●4月の米雇用統計

3月の非農業部門雇用者数における前月比の伸びが市場予想を大きく下回ったことによって、その後、市場全体のムードが大きくリスク・オフへと傾いたことは記憶に新しいところです。もちろん、3月の結果がある程度「ハードル」を下げたことも事実で、少々強めの結果が出れば、むしろ敏感に強気の反応を示す可能性もあります。ちなみに、昨日(1日)発表された4月のISM製造業景況指数については、その数値結果以上に市場が敏感な反応(ドル買い)を示すこととなりました。市場はドルの買い戻し材料に少々飢えているような感じを受けます。

<5月6日>

●フランス大統領選

サルコジ劣勢が伝えられており、仮にオランド大統領誕生となれば、31年ぶりに現職が敗れることとなり、左派系大統領が誕生するのは17年ぶりということになります。それだけでも一定の動揺は避けられないうえ、オランド氏が掲げる公約は極めて民間金融機関に対する締め付けがキツイ内容であることから、すでに仏銀の株価は大きく値下がりしています。仏銀による対スペイン融資額のGDP比率は非常に高く、回収不能リスクが高まっているところに株価下落が追い打ちをかける格好となっていることは、市場全体のムードを一段と悪化させる可能性を高めるものと見られます。

●ギリシャ総選挙

現在、大連立を組んでいる二大政党は議席を大幅に減らすのが確実な情勢となっている模様です。結果、EUなどと結んでいる支援策への非難を続ける小政党が選挙後のキャスチングボートを握ることは必至となり、場合によっては支援の前提となる緊縮財政策が白紙撤回される恐れもあります。そうなれば、欧州債務危機再燃への市場の懸念は一気に高まることとなるでしょう。

比較的短期的なスタンスで外国為替相場と向き合う投資家にとっては、この週末、非常に神経質な対応が求められることとなりそうです。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役