まずは、リンク先画面のユーロ/ドル(日足)チャートをご覧ください。このグラフでハッキリと確認できるのは、2011年12月から現在に至るまで、4カ月連続して各月の安値は大よそ月半ばに付けられているということです。 具体的には、2011年12月14日、2012年1月16日、2月16日、3月15日という具合...。加えて、各月の高値は大よそ月末から翌月初にかけて付けられているということもわかるでしょう。もちろん、これは必ずしも偶然というわけではなく、欧州における重要な会合や政治的イベントなどが「月半ばあるいは月末に開催されることが多い」ということと大いに関係しているものと思われます。 つまり、そのイベントに対する市場の期待が強かった場合、開催日が近付くほどに一段と期待は膨らみ、それがユーロの価値を押し上げる...。しかし、そのイベントを通過すれば、たとえその内容が従前の期待通りであったとしても「セル・ザ・ファクト(=事実で売り)」ということになるわけです。もちろん、その内容が従前の期待を裏切るものであった場合には、一段と強い下押し圧力がかかります。 また、市場心理というのは面白いもので、一定期間続けて規則的な値動きの繰り返しが見られると、その後も同じ値動きの繰り返しが続くという思い込みが強くなり、結果的にしばらくは同じようなパターンを繰り返すということが少なくありません。
ここで改めて最近の値動きに注目しますと、2012年2月29日に天井打ちして反落したユーロ/ドルは3月15日に底入れ・反発し、目下のところ短期的な戻り基調の最中にあります。そして、月末30日にはデンマークでユーロ圏財務相会合が開かれ、そこで金融安全網の拡充(=融資能力の増強)が決まるものと期待されています。
そこで俄然注目が集まるのは...またしても「例のパターン」を繰り返すのかどうかという点です。つまり、月末に開かれる重要会合通過の前後に目先の天井を打って反落し、少なくとも4月半ばごろまでは調整含みの展開となるのかどうか...。
ちなみに、目下のユーロ/ドルは21日移動平均線(21日線)中心とするボリンジャーバンドにおいて+2σの水準に接近しており、そろそろ高値警戒感が強まってきやすい状況にあります。振り返れば、3月15日の安値は-2σの水準に近く、そこからセオリー通りに反発し、一定の戻り歩調を辿ることとなりました。このボリンジャーバンドについては、本欄の2012年2月8日更新分にて詳しく触れていますので、よろしければご参考になさってください。
また、チャート上に示した2月安値と3月安値を結ぶ赤点線に注目すると、1月下旬あたりから同線を「ネックライン」とする短期の「三尊天井」が形成されている可能性があるとの見方もできるものと思われます。であるとするならば、今後、ユーロ/ドルが戻り一巡から反落した場合、やはり前述のネックライン水準がどうしても意識されやすくなるものと見られます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役