昨晩、金融工学やトレーディングに興味の高い社員と飲みにケーションに出かけました。その中で、ブラック・ショールズ・モデル(BSモデル=オプションのプライシングに使われる標準的なモデル)についての質問があったので、そのことを少々。質問とは「BSモデルはなんであんなにマーケットを制覇しているのですか?色々なモデルがあるのに、なんでみんなBSモデルを使うのですか?」というものです。これは実はトリッキーなテーマです。

実際にはマーケットのプレイヤーがみんなBSモデルを使ったり信用している訳ではありません。それぞれが、それぞれの信じる複雑なモデルを使ったりしていますが、プレイヤー間で例えばオプションの売買条件のやりとりをする際に、マーケット自体の値段が動いた時に一々プレミアムの値段を再計算して再提示するのは難儀ですが、BSモデルのボラティリティでやりとりしておけば、少しの条件の変化であれば、各自が本当に使うモデルで再計算するのとほぼ同じ数値をBSモデルは計算するので、要は便利なのです。

狭い範囲内であれば、十分に正確な変化の近似値を計算できるので、コミュニケーションツールとして優れていると云えるでしょう。英語やGlobishと似た面があります。大勢の人にコミュニケーションツールとして使われるためには、簡潔でかつ適度に正確な近似値を伝えられることが肝要です。まぁそんな話をしました。インターネットのプロトコルも同じです。BSモデルもGlobishもTCP/IPも、優れたプロトコルには共通の性質がありますね。