とうとう今年も残すところ一営業日となってしまいました。この一年、色々なことがあったと云うべきか、たったひとつのテーマに翻弄されたと云うべきか。
サブプライム問題が深刻化し、或いは表面化し、米政府は恐らくいくつかの間違いを犯し、しかし最終的にはなるようにしかならない形で-それは最悪の形で-、一定の収束を迎えようとしています。
大量の公的資金を使って、金融システム、或いは基幹産業を守ること。要は税金と云うコストを使って、一部企業を守る訳です。このためには税金を多く徴収するか、政府は借金をしなければいけません。その結果、恐らく景気の悪化は長めに続き、一方で企業の株式や債券を流通させる金融市場は比較的早めに回復するでしょう。市場放任主義から規制強化、小さな政府から大きな政府への転換も、暫くは止まらないでしょう。そう云った様々な分野で、今までとは違うやり方が行われるようになり、そしてそれらを恐らく行き過ぎるまでやってしまい、歪みが作られていくでしょう。それはいつの日か揺り戻しが来ます。地震のようなものです。
米政府はリーダーシップも変わります。共和党ブッシュから民主党オバマへ。これも大きな政府化への懸念を増長しますが、オバマの今までの発言等を聞くとかなりバランスを取っている気がするので、杞憂かも知れません。しかし実際に政権に就けば、期待やしがらみから、様々な問題が起きてくることでしょう。それがまた行き過ぎや歪みを作る懸念はあります。要は今年は、あまりにも大きなストレスを作ってしまった、と云うのが特徴的な年ですが、それは同時に将来に向けて反動的な歪みを作る懸念を作った年、とも云えると思います。
日本はどうでしょう?「あなたとは違うんです」-確かに先代の首相も今の首相も、私たちとは違う気がします。リーダーシップ不在。それでも何とか動いていく日本と云う国は凄いと思いますが、やはり心配です。大きな問題を作ったがリーダーが替わり、新リーダーは恐らくリーダーシップを発揮していく国、アメリカ。比較的に問題は少なかったが、リーダーシップは不在で、恐らくこれからも-仮にリーダーが変わっても-、リーダーシップ不在、もしくはリーダーの見当違いが続きそうな国、日本。どっちもどっちと云う気もします。そしてアメリカでも日本でも、そして世界中で、史上最高速の景気悪化が進んでいます。
私たちマネックスにとってはどんな年だったでしょう?金融市場の混乱が、当然当社にも影響を与えています。しかしその影響は、銀行などの他の金融機関や伝統的な証券会社に比べれば、ずっとずっと小さいと思います。業績には変動がありますが、それは前にもあったことで、これからもあることです。社員も組織も、平然と仕事をしています。しかしこれではいけない。未来に向けての決意は、今日書くのではなく、新年に書きたいと思いますが、アメリカを中心に世界に起きたことは当社にも等しく起きています。ストレスが走った。そのストレスに対して、何も反応しないのか、反応し過ぎて新しい歪みを作るのか。そのどちらであってもいけないと思います。必ず変化しなければいけない、しかも適切な幅と形で変化しなければいけないのです。
十二支サイクルの冒頭の子年は、ストレスを伴ったインパクトによって、先ずは大きな石が投げ込まれた年でした。十二年の幕開けとしては、或る意味で不足はありません。受けて立とうと云う気持ちで一杯です。未来に向けての決意はまた新年に。年末の数日は、このディープ・インパクトを、しっかりと見極めることに使いたいと思います。