喋り方や口癖と云うものは、移るものです。子が親の喋り方に似るのは当然ですが、友人の話し方に似たり、部下が上司の口癖を使うようになるのは、よくあることです。近くにいると耳に慣れるだけでなく、その人に傾倒している場合、心理的にも真似ようとするようで、大きく影響を受けます。私も大学生の頃、2年間ほど友人と一緒に暮らしていたのですが、彼の考え方に感心すればするほど、話し方も似ていってしまった経験があります。ふとそれを自覚すると、ちょっと恥ずかしいのですが、如何とも出来ないのでした。

私の知っている人の中で、かつてのボスの考え方を、強く否定している人がいます。私は偶々その元ボスの人とも交流があるのですが、それぞれの方にはそのことは内緒にしています。そして元ボスの方も、この人の考え方を支持していません。お互いに否定し合っているのです。

ところがお二人の話を聞いていると、その話し方や、論理展開の仕方が、瓜二つなのです。恐らく御自身たちは、そのことを自覚していないと思うのですが、両方を知っている私には、ちょっと滑稽に見えます。あまりにも傾倒したが故に、話し方も似て、果ては否定するようになってしまったのでしょうか。或いは否定しているのは、世間に対するポーズであり、お二人の間には強い信頼が今でもあるのでしょうか。

皆さんの周りも、同じような例がきっとあると思います。人って面白いですね。