先週(10月19日週)の金(ゴールド)相場:AI関連株の急落で手仕舞い売りが広がる
米ドル建て金価格は、10月16日の4,166ドルから10月23日に3,996ドルへ下落し、週間では約4.1%安となった。CME金先物も4.0%安と、2週続けての値下がりとなった。週の終盤には節目の4,000ドルを割り込み、終値は7月中旬以来の安値となった。
一方、円建て金価格は、米ドル/円が158.02円から156.87円へ円高となったことで4.8%安と、下落率は米ドル建てを上回った。
値動きの背景:米金利・米ドルの低下も支えにならず、金の持ち高整理が進む
先週(10月19日週)の金は、AI関連株安と原油高が重なるなかで持ち高を整理する売りが膨らみ、大幅安となった。米10年実質金利は2.72%から2.64%へ低下し、ドル指数も101.84から101.81へ小幅に下がったが、金の支えにはならなかった。
週前半の金は、週明けの米金利上昇で軟調に始まった。その後、米イラン間の仲介役を担うパキスタンの陸軍トップがイランの首都テヘランを訪れると、原油は高値から急反落し、金も一時買われた。ただ、イラン側は強硬な姿勢を崩さず、原油が下げ幅を縮めると金も上げを失い、4,100ドル台前半へ下げた。
10月22日には、金の下げが一気に加速した。前日発表のメタ・プラットフォームズ[META]の7~9月期決算で、AI投資が本業で稼ぐ現金を上回り、AI関連株が急落。同じ日には、イエメンのフーシ派がサウジアラビアへの攻撃を重ね、イラン革命防衛隊も船舶7隻の被害を主張して、原油が急騰した。株安を受けた米国債買いと12月の利上げ観測の後退で利回りが大きく下がったが、金は銀やプラチナとともに買い持ちを手仕舞う売りに押された。
週の終盤も原油高が続き、ブレント原油は117ドル近辺まで上昇した。米国の購買担当者景気指数(PMI)速報では販売価格の指数が約4年ぶりの高水準となった。物価への警戒から米金利とドルが反発するなか、金は一段安となった。
需給面の動き:金ETFから3月上旬以来の大規模流出、先物の買い越しは6週続けて縮小
代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア[GLD]からは、週間で約22.5億ドルが流出した。20日を除いて連日資金が流出し、特に22日は1日で約15.5億ドルと、日次でも3月上旬以来の規模に膨らんだ。
CFTCが10月23日に公表した10月20日時点のデータでは、CME金先物の投機筋(Non-Commercial)のロングは237,142枚と前週から8,158枚減り、ショートは144枚減って37,277枚となった。差し引きの買い越しは20.0万枚と0.8万枚縮小し、8月上旬以来の低さで縮小は6週連続となった。
今週(10月26日週)の注目ポイント:FOMCと大手IT決算、原油価格が相場の行方を握る
今週(10月26日週)の金は、FOMC、大手IT企業の決算を受けたAI関連株の動き、米イラン交渉の途絶で高止まりする原油価格が相場の行方を決めそうだ。
FOMC:ウォーシュ議長の会見に注目
まず、金融政策では、10月28日に結果が出るFOMCが焦点となる。政策金利は据え置きが見込まれるが、原油高で物価への警戒は強い。ウォーシュFRB議長が会見で12月の追加利上げに前向きな姿勢を示せば、米金利とドルが上がり、金には逆風となる。反対に、株安による景気の下振れに配慮する姿勢がにじめば、米金利とドルの低下が金の下支えとなりうる。10月29日には欧州中央銀行(ECB)理事会、10月30日には日銀の金融政策決定会合も控えており、各中央銀行の政策判断を受けた金利の動きや、リスク資産への影響も注目される。
AI関連銘柄:大手テクノロジー企業3社の決算発表を前に、投資家の注目が集まる
AI関連株を巡っては、10月28日にマイクロソフト[MSFT]、10月29日にアマゾン・ドット・コム[AMZN]の決算が控える。アルファベット[GOOGL]も今週発表する見通しだ。メタ[META]と同様にAI投資の負担が重く受け止められれば、株安が再び持ち高整理の売りを誘い、金の下押し要因となりかねない。投資計画が市場に受け入れられて株式が落ち着けば、金の売りも一服しやすい。
原油価格相場:米中間選挙まで交渉停滞か
中東では、米中間選挙(11月3日)まで米イラン交渉の停滞が続くとみられる。イラン側には、トランプ米大統領に成果を与えないよう交渉を長引かせる思惑があるとされる。米国側も、選挙後の攻撃再開に向けて計画を練っていると報じられており、両国とも歩み寄りを急ぐ構えは見えない。米国を交えたロシア・ウクライナ協議が11月に開かれる方向となったことは、原油の上値を抑えうる。ただ、米イラン情勢が膠着するなかで原油が高止まりすれば、金の戻りは鈍りやすい。
価格予想レンジ
直近の金現物の価格予想レンジとして、上値は4,200ドル、下値は3,900ドルを意識する。
