モトリーフール米国本社– 2026年11月1日 投稿記事より
マイクロン・テクノロジー[MU]のバリュエーション水準を判断する2つの視点
コンピューターおよび人工知能(AI)サーバー向けのメモリー半導体を製造するマイクロン・テクノロジー[MU](以下、マイクロン)の売上高は、2026年9月30日に発表した2026年度通期決算では1330億ドルとなりました。さらに、調整後1株当たり利益(EPS)が75.52ドルと前年度の8.29ドルから大幅に増加するなど、過去最高を記録しました。しかしその後約1ヶ月経過した10月28日の同社の終値は、決算発表当日の終値を約13%下回りました。
業績と株価が乖離する状況は、投資家がこれまでも経験したことです。歴史を振り返ると、メモリー半導体市場の活況(メモリーブーム)は、新たに供給された製品が市場に溢れ、価格が下落する局面で終息しています。マイクロンの10月28日時点の予想PERは約5.5倍と、市場が近く急激に冷え込むことが織り込まれた水準にあります。これに対し、S&P500指数の予想PERは約19倍となっています。
マイクロンのバリュエーションが妥当な水準にあるかどうかは、すでにどれだけの需要が確保されているか、そして今後どれだけの新規供給が見込まれるのかという2点にかかっています。
長期契約により需要の一部を確保
需要変動の問題に対するマイクロンの解決策は、一連の長期戦略的顧客契約(SCA)です。SCAとは、買い手が一定量の製品を購入し、製品を引き取らない場合でも代金を支払う必要がある旨を規定した契約で、マイクロンは26件のSCAを締結済みです。これらのSCAは、顧客からの総額320億ドルに上る財務上のコミットメントによって裏付けられています。
SCAが将来のすべての売上高に適用されるわけではありませんが、SCAによって価格と利益はある程度安定するはずです。こうした安定性は、バリュエーションが低過ぎると一部の投資家が主張する理由の一つとなっています。
さらに、市場調査会社のインターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の予測によると、マイクロンのメモリー半導体を必要とするサーバーへの支出は年率28%のペースで増加し、2030年には1兆5800億ドルに達する見込みです。
過去最高となったキャッシュフローを生産能力拡大の資金に充当
足元のメモリーブームはマイクロンに潤沢な資金をもたらしています。同社の調整後フリーキャッシュフローは2026年度第4四半期に330億ドル、2026年度通期では620億ドルに達しました。こうしたキャッシュフローは、生産能力の拡大にも充当されています。マイクロンの2026年度の設備投資は約270億ドルで、2027年度は上半期に約250億ドル、下半期には、上半期を上回る額の設備投資を計画しています。リスクは工場増設による供給増です。供給が増えればメモリー半導体価格は下落し、通常はメモリーブームの終息につながります。
メモリー半導体不足が終わりつつあるかどうかを示す指標は2つ
マイクロン社のSCAは2030年までの予想売上高の35%あまりをカバーしていますが、残りの最大65%は市況の変動にさらされたままです。供給が需要に追い付けば、売上高が減少し、株価が下落する可能性があります。
需給バランスを追跡するために注目すべき指標は2つあります。それは、DRAMの販売価格と経営陣が四半期ごとに報告する在庫回転日数です。
DRAMはマイクロンの売上高の約4分の3を占めています。DRAM価格は2026年度第4四半期に15~19%上昇しました。こうした価格上昇には、旺盛な需要と限定的な供給が反映されています。在庫回転日数(メモリー半導体が生産されてから販売されるまでの在庫期間)は9日延びて129日となりましたが、供給の逼迫が続いているため、経営陣は在庫回転日数が短くなると予想しています。価格が伸び悩む中で在庫の回転日数が延び続けた場合、供給過剰の兆候となります。
予想PERが約5.5倍というマイクロンのバリュエーションには既に、業界の下降局面入りが織り込まれています。価格が上昇し続け、経営陣の予想通りに在庫の回転期間が減少する限り、マイクロンは真に割安な銘柄となり、2027年も株価が一段と急騰する可能性があるでしょう。一方、2つの指標のどちらかが反転すれば、懐疑派の見方が正しいことになります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者John Ballardは、記事に記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はマイクロン・テクノロジーの株式を保有しており、同社を推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示ポリシーを定めています。
