先週(10月26日週)の金(ゴールド)相場:週前半の戻りを失い、約1年1ヶ月ぶりの安値

米ドル建て金価格は、10月23日の3,996ドルから10月30日に3,875ドルへ下落し、週間では約3.0%安となった。CME金先物も2.3%安と、3週続けての値下がりとなった。最終日には3,900ドルを割り込み、終値は約1年1ヶ月ぶりの安値となった。

一方、円建て金価格は、米ドル/円が156.87円から157.56円へ円安となったことで2.6%安と、下落率は米ドル建てを下回った。

【図表1】先週(10月26日週)の金(ゴールド)相場
※Bloombergよりマネックス証券作成(金価格は1トロイオンスあたりの価格、金先物は限月満了により10月23日は10月限・10月30日は12月限、円建て価格はUSD建て×米ドル/円で算出)

値動きの背景:中東の外交で持ち直すも、大手IT決算後の株安に巻き込まれる

先週(10月26日週)の金は、中東協議への期待を背景に一時は持ち直したものの、米大手IT企業の決算をきっかけとする株安とともに大きく下げた。米10年実質金利は2.64%から2.58%へ小幅に低下し、ドル指数は101.81から101.88とほぼ横ばいだった。

週前半は、サウジアラビアやパキスタン、トルコの高官がイラン側と協議し、原油の上昇が一服してインフレへの警戒が和らぐと、金は4,000ドル台を回復した。FOMC(米連邦公開市場委員会)も、市場予想通りに政策金利が据え置かれ、無難に通過すると、金は一時4,080ドル付近まで値を伸ばした。

しかし、アルファベット[GOOGL]が決算で示したAI投資の負担の重さが嫌気され、AI関連株の売りが再燃すると、金も4,000ドル付近まで押し戻された。続くアマゾン・ドットコム[AMZN]の決算も市場予想に届かず、ハイテク株の下げが広がると、金は一段と値を崩した。

さらにホルムズ海峡でのタンカー被害で原油が再び上昇したことも市場心理を冷やした。株式市場の動揺が続くなか、損失を埋めるための換金売りとみられる動きから貴金属全般が売られ、金は3,900ドルを割り込むまで値を下げた。

需給面の動き:金ETFの流出は一服、先物は投機筋のロング整理が続く

代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア[GLD]の資金フローは、週間で約180万ドルの流入と、ほぼ均衡した。流出入は日によって分かれ、金が急落した10月30日も小幅ながら流入となり、10月22日のような大口の流出は見られなかった。

【図表2】金ETF[GLD]日次純流出入(百万ドル)
出所:SPDRヒストリカルデータ、Bloombergよりマネックス証券作成

CFTC(米商品先物取引委員会)が10月30日に公表した10月27日時点のデータでは、CME金先物の投機筋(Non-Commercial)のロングは223,724枚と前週から13,418枚減り、ショートは4枚減って37,273枚となった。差し引きの買い越しは18.6万枚と1.3万枚縮小し、7月下旬以来の低さで縮小は7週連続となった。

【図表3】CFTC金先物 投機筋ネット買い越し(直近12週、千枚)
出所:CFTC週次レポートよりマネックス証券作成

今週(11月2日週)の注目ポイント:米中間選挙と米雇用統計、AI関連企業の決算、選挙後の米イラン情勢が相場を左右

今週(11月2日週)の金は、米中間選挙と米雇用統計、AI関連企業の決算に加え、選挙後の米イラン情勢が相場の方向性を左右するとみる。

米中間選挙:民主党優勢、通過で不確実性は後退か

11月3日の米中間選挙は、直近の世論調査や予測市場で、民主党が下院で大きくリードし、上院でも優勢となっている。予想どおりの結果となれば、政治の不確実性の後退で株式市場に安心感が広がり、足元で株式と同じ方向に動きやすい金にもプラスに働きうる。一方、上院の接戦で結果の確定が長引いたり、サプライズで共和党が勝利したりすれば、相場の変動が大きくなる可能性がある。

AI関連銘柄:アップルやAMDの決算で売りは止まるか

AI関連では、11月2日にアップル[AAPL]やパランティア・テクノロジーズ[PLTR]、11月3日にアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]などが決算を発表する。AI投資の収益性への懸念が強まるなか、AI需要の強さを示せれば株式市場が落ち着き、金への売り圧力も和らぐだろう。期待外れに終われば株安が再燃し、換金売りが再び金に及ぶ展開も想定される。

米雇用統計:選挙後の相場の方向感を強めるか

選挙後で値動きが荒くなりやすいなか、11月6日の10月米雇用統計は相場の方向感を左右しやすい。雇用の伸びが鈍れば12月の利上げ観測が後退し、金の買い戻しに弾みがつきうる。賃金を含めて強さが目立てば、米金利の上昇で金の下げに拍車がかかることも考えられる。

米イラン情勢:選挙後に攻撃再開か、合意か

中東では、中間選挙後に米国が攻撃を再開するかが焦点となる。米国は外交を優先するとしつつ、選挙後の軍事行動は排除していない。イランはカタールの仲介で協議を続けるが、港湾封鎖の解除などを条件に掲げ、大きな進展は見られない。軍事的対立が再開すれば原油の高止まりで米金利も上昇し、金の重しとなりかねない。一方、協議が進展すれば原油安でインフレへの警戒が和らぎ、金の追い風となりうる。

価格予想レンジ

直近の金現物の価格予想レンジとして、上値は4,100ドル、下値は3,800ドルを意識する。