今週は急落後の底固めと戻りを試す展開を予想
今週の日本株相場は、日米の主要企業決算をにらみながら、急落後の底固めと戻りを試す展開を予想する。先週の日経平均は2,600円あまり下げ、6万2693円で取引を終えた。ただ、週末金曜日は一時6万1500円の節目を割るところまで下落した後、大きく下げ幅を縮めている。長い下ヒゲを引いた、ほぼ寄り引け同値の十字足。これは売り一巡を示唆するサインではあるが、本格反転に向かうには、AI投資の収益性に対する懸念がさらに和らぐ必要がある。AI投資の回収可能性に対する疑念が今回の調整の背景にある点は、直近のストラテジーレポートで指摘した通りだ。
最大の焦点は米ハイパースケーラー決算による数字とそれを受けた市場の反応
最大の焦点は、28日のマイクロソフト[MSFT]とアルファベット[GOOGL]、29日のアマゾン・ドットコム[AMZN]の決算である。メタ・プラットフォームズ[META]のフリーキャッシュフローの赤字転落を受け、市場はAI関連企業の売上高や利益の拡大だけでなく、巨額投資を続けながら十分な資金を生み出せるかを厳しく見始めている。設備投資の増加は半導体需要を支えるが、投資する側の株主にとっては、回収までの時間や将来の利益率が問題となる。今回の決算では、クラウド事業の成長、営業キャッシュフローの増加、設備投資計画のバランスが問われよう。
したがって、好決算が出れば直ちにAI関連株が全面高に転じるとまでは見込みにくい。高い成長期待を織り込んできた銘柄では、業績が堅調でも評価倍率の切り下げが続く可能性がある。逆に、投資負担を吸収する収益拡大が確認され、決算発表後の株価が素直に上昇すれば、過剰投資への警戒が後退した有力な手掛かりとなる。決算の数字とともに、それを受けた市場の反応を見極める週である。
ただ、ストラテジーレポートでも述べた通り、先週のメタの決算で市場は一度「予行演習」を行っているので、今週のハイパースケーラーの決算でFCFの赤字が示されたとしても耐性を示す可能性もある。そうなればあく抜けのサインと見ていいだろう。
国内のキオクシア決算他、米FOMC、日銀金融政策決定会合に注目
日本では28日のアドバンテスト(6857)、30日のキオクシアホールディングス(285A)、東京エレクトロン(8035)などの決算が注目される。検査装置や製造装置の受注見通し、データセンター向けメモリー需要、販売価格の動向などが焦点となろう。米巨大IT企業の投資継続と国内半導体企業の受注・利益成長が確認できれば、売り込まれた銘柄の買い戻しにつながる。ただし、週末発表の決算に対する評価は翌週に持ち越されるため、今週中に相場の方向性が定まらない可能性もある。
金融政策では27-28日のFOMC、29-30日の日銀金融政策決定会合が控える。ともに政策金利の据え置きが予想されるが、相場を左右するのは、その先の追加利上げに関する説明である。据え置き自体は織り込みが進んでおり、株高材料としての効果は限られよう。米国が引き締めに慎重な姿勢を示せば成長株の支えとなる一方、日銀が追加利上げに前向きな姿勢を強めれば、円高を通じて輸出関連株の上値を抑える可能性がある。29日の米GDPやPCE物価指数、30日の東京都区部消費者物価指数も、政策見通しを動かす材料となる。
日経平均の下値では、先週安値の6万1462円近辺を維持できるかが重要である。上値はまず6万4500-6万5000円程度への回復が目安となるが、戻り売りも出やすい。中東情勢と原油高、翌週の米中間選挙も積極的な買いをためらわせる要因である。今週は反発の余地を見込みつつも、指数の急回復を決め打ちするより、決算で収益力や受注の強さを確認できた企業への選別が進むと考える。半導体株の反応に加え、内需株などへの物色の広がりが続くのかも、相場の底堅さを判断するポイントとなろう。
予想レンジは6万1500円-6万4500円とする。
