AI・半導体関連株に売りが集中、ハイテク株下落で市場は厳しいスタートか

今週の日本株市場は、引き続き下値を探る神経質な展開が予想される。先週の日経平均株価は前週末比3,706円安、6万5324円で取引を終えた。15日には3,318円安と史上3番目の下げ幅を記録した。中国の半導体メーカーの技術進歩による競争激化懸念に加え、米AIクラウド大手コアウィーブ[CRWV]の信用不安が浮上したことで、これまで相場を牽引してきたAI・半導体関連株に売りが集中した。週末には自律反発を見せたものの、米国市場で再びハイテク株が大幅に下落しており、週明けの東京市場も厳しいスタートとなりそうだ。

先週発表された米国の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回った。FRBによる追加利上げ観測が強まるのがこれまでのパターンだが、今回はちょっと様相が違う。株式市場や社債市場が不安定なのでFRBの利上げもブレーキがかかるという思惑が出ているようだ。逆に言えばインフレ圧力が強まってもFRBに利上げを思いとどまらせるほど、市場の不安は強いということだろう。

AI投資に対する市場の評価に変化

AI投資に対する市場の評価が変わり始めたのは確かだろう。これまでは、巨額の設備投資が将来の成長につながるという期待が株価を押し上げてきた。一方、投資規模の拡大に伴って資金調達負担が増大する一方、それに見合う収益がいつ実現するのかという疑問が何度も台頭し市場を揺さぶってきた。実はそれだけではない。僕が指摘してきた「AI村の錬金術」への疑心だ。僕が以前言及したのはこのレポートだから、もう1年も前になる。それがコアウィーブの信用不安でこの問題がようやく顕在化してきたというわけだ。今後、レポートでも詳しく取り上げるが、要警戒である。

日米企業決算に注目

今週最大の焦点は、21日に予定される米メタ・プラットフォームズ[META]の決算発表である。AI関連投資の拡大が実際の収益成長に結びついているのか、経営陣が今後の投資計画と収益見通しをどのように説明するかが注目される。20日のネットフリックス[NFLX]、21日のアイビーエム[IBM]、テスラ[TSLA]、テキサス・インストゥルメンツ[TXN]などの決算も重要である。好決算が相次げば過度な悲観論が後退し、売られ過ぎた半導体関連株に買い戻しが入る可能性があるとの声が多く聞かれるが、僕は懐疑的に見ている。好業績にもかかわらず株価が反応しないようであれば、相場の調整は単なる利益確定売りではなく、投資家のリスク許容度そのものが低下していることを示唆しよう。

国内では、22日のディスコ(6146)、23日のファナック(6954)の決算が注目される。特にファナックは、先に好決算を発表した安川電機(6506)に続いて産業用ロボット需要の回復を確認できるかが焦点となる。AI関連の中でも、データセンター向け半導体への投資と、製造現場の自動化を担うフィジカルAIでは成長の背景が異なる。半導体関連株への過度な集中が修正されるなか、業績の裏付けがある銘柄への選別投資が進む可能性がある。また、23日には9月の全国CPIが発表される。生鮮食品を除く総合指数は前年比2.1%上昇と、前月の1.7%から伸びが加速する見通しである。日銀の追加利上げ観測が強まれば、円高圧力が日本株の重荷となる一方、銀行株などには追い風となろう。

日経平均の当面の下値の目安は、9月14日の安値である6万2726円近辺を意識してざっくり6万2500円とみる。先週の急落によって短期的な売られ過ぎ感は強まっているが、米国のAI関連株が下げ止まらない限り、本格的な反発は期待しにくい。ただし、今回の調整をAI需要そのものの終焉と捉えるのは早計である。問題は需要の有無ではなく、巨額の投資に対してどれだけの収益を、どの程度の時間軸で生み出せるかという点にある。今週の米企業決算は、その見極めに向けた重要な試金石となろう。

予想レンジは6万2500円-6万7000円とする。