米中間選挙とAI関連株の調整で日本株は不安定な展開へ
先週の日経平均は週間ベースでは前週末の終値と比べて600円弱高い6万3290円と反発して終えた格好になっているが、週末には米巨大IT企業の決算を受けて急落した。その後、金曜日の米国株市場でナスダックが大幅安となるなどハイテク株の急落は続いており、日経平均先物の夜間取引では6万2000円台まで売られている。日経平均だけを見れば、結局、先週は行ってこいか、むしろ下げた相場だったということだ。
今週の日本株相場は、米中間選挙とAI関連株の調整をにらみ、不安定な展開が続くと予想する。3日は文化の日で東京市場が休場となるため、海外市場の変動を挟んだ売買にも注意が必要である。
AI関連株は業績だけでなくAI投資の回収可能性が焦点に
先週の展望では、好決算だけでAI関連株が全面高に転じるとは限らず、発表後の株価の反応を見極める必要があると指摘した。アルファベット[GOOGL]のフリーキャッシュフローの赤字拡大や、アマゾン・ドットコム[AMZN]の決算・見通しを受けた株安は、市場の関心が売上高や利益の成長から、投資負担を吸収できる資金創出力に移っていることを示している。これまでマネックスのレポートで警戒してきたAI投資の回収可能性が、引き続き相場の中心的な論点となろう。
事業で稼ぐ資金を超える設備投資が続けば、手元資金の取り崩しや借り入れ、増資などへの依存が高まる。借り入れには利払い負担が伴い、増資には既存株主の持ち分を薄める問題がある。資金調達ができている間は投資を続けられるが、調達条件が厳しくなれば投資計画にも影響する。設備投資の額だけを半導体需要の強さとして評価する段階から、その資金を継続的に確保できるかを検証する段階に入っているのである。
もっとも、投資する企業と装置・部材を供給する企業では、足元の業績への影響は異なる。顧客側の資金負担が増していても、供給側では受注と利益の拡大が続く場合がある。AI関連という括りで一様に判断せず、受注の裏付けや顧客の財務状況まで見極めたい。今週も米アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]やクアルコム[QCOM]などの決算が予定されており、需要の持続性を判断する材料となる。ただし、好業績でも株価が下げ止まらなければ、評価倍率の調整や持ち高の整理がなお続いていると考えるべきであろう。
米中間選挙でAI・半導体関連株に規制強化リスク
政治面の焦点は言うまでもなく3日の米中間選挙である。日本時間4日にかけて判明する議会勢力の構成が、財政運営や規制政策への思惑を通じて株価と長期金利を動かす可能性がある。予想通り、民主党が上下院とも議会を奪回する「ブルーウェーブ」シナリオとなった場合、AI規制強化の思惑でAI・半導体関連株がさらに売られるというリスクはある。しかし、この「ブルーウェーブ」はメインシナリオのため、相当程度、織り込み済みだろう。そう考えれば先週のAI・半導体関連株の急落(特にインテル[INTC]の▲29%安など)は、その要因もあってのことと思えなくもない。
また、選挙通過によって不透明感が薄れることは期待できるが、それだけでAI投資を巡る懸念が解消するわけではない。選挙後の中東政策にも注意したい。情勢が悪化して原油価格が上昇すれば、日本企業にはコスト増、家計には購買力低下という負担になる。ただ、軍事行動の再開を既定路線として相場を判断するのは早計である。
国内では業績見通しが改善している企業を探す動きに期待
国内では5日のトヨタ自動車(7203)、任天堂(7974)、日本製鉄(5401)、6日の三菱重工業(7011)など、幅広い業種の決算が控える。AI関連株の値動きが指数を左右する一方、それ以外の企業で利益成長や株主還元の強化が確認されれば、個別に評価する余地はある。指数の下落に伴って売られた銘柄の中から、業績見通しが改善している企業を探す動きが期待される。
米経済では2日のISM製造業景況指数、4日のISM非製造業景況指数、6日の雇用統計が重要となる。景気の底堅さとインフレ圧力の緩和を両立する結果なら支えとなるが、物価警戒や景気減速への不安を強める内容なら戻りを妨げよう。日経平均はまず6万2000円前後で売りを吸収できるかを見極めたい。そこを下回れば、10月23日の安値6万1462円近辺が次の目安となる。反発の持続性を判断するには、米AI関連株の落ち着きに加え、国内で好決算銘柄への買いが広がることが必要である。
予想レンジは6万1500円-6万4500円とする。
