円安への戻りの割に限られた円買い越しの縮小
ヘッジファンド(以下ヘッジF)の取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、9月22日時点で買い越しが7万枚となり、1週間前の12万枚から縮小した。ただこの頃までに米ドル/円は152円から158円まで大きく米ドル高・円安に戻していたことを考えると、円買い越し(米ドル売り越し)縮小は意外に限られたようにも感じられる(図表1参照)。そうだとしたら、それはなぜだったのか。
ヘッジFの円買いポジションの損益分岐点は120日MA(移動平均線)が目安になっているとの見方がある。その120日MAは足下159円台で推移している。先週(9月21日週)の米ドル/円の上昇は159円をわずかに超えたところまでにとどまった(図表2参照)。このため、ヘッジFの円買いポジションは損失への転落が回避された可能性が高いだろう。以上からすると、ヘッジFの円買い越し縮小が限られたのは、円買いポジションの損失転落が回避されたことが大きかったのではないか。
159円での円安阻止が強く意識された可能性
9月に入り152円まで下落した米ドル/円が、先週(9月21日週)一時159円まで反発したのは、米金利上昇などが米ドル買いの手掛かりになった面が大きかったのだろう。ただ日米金利差(米ドル優位・円劣位)の拡大を踏まえると、米ドル/円の反発が159円で止まる必然性は全くなかったのではないか(図表3参照)。
米ドル/円の反発を159円までにとどめたのは、日本の通貨当局が158円台で為替介入の前段階と理解されている「レートチェック」に動いたこと、そして9月22日の日米首脳会談でトランプ米大統領が円安への懸念を伝えていたことが明らかにされたこと、それらが主なきっかけになったのだろう。結果的に見ると、米ドル高・円安を159円で止めるために、「レートチェック」やトランプ円安懸念のリークを行ったようにも感じられる。
目的はヘッジFの円買いポジションの損失転落回避か
その159円は、すでに見てきたようにヘッジFの円買いポジションの損益分岐点の可能性がある。そう考えると、「レートチェック」も、トランプ円安懸念リークも、目的はヘッジFの円買いポジションの損失転落回避だったのではないか。仮にそうであるなら、なぜヘッジFの円買いポジションの損失転落回避が必要だったのか。
CFTC統計の投機筋の円買い越しが12万枚まで急拡大したタイミングと米ドル/円の152円台まで急落したタイミングはほぼ重なる。そしてこの頃、ベッセント米財務長官は、「日本には円高になる政策を期待する」などの発言を繰り返していた。ベッセント長官がヘッジF業界出身ということも考えると、ヘッジFの円買いはいかにもベッセント長官との連携によるもののように見える。
そうであるなら、ベッセント長官はヘッジFの円買い戦略をできる限り擁護し、自身が目指す円高への反転に向けた協力を強く期待しているということではないか。
