先週(6月29日週)の動き:NY金は約8ヶ月ぶりの安値から4,100ドル超に復帰、国内金価格は円安に下支えされ8週間ぶり週足反発

下値での買いを示唆した値動き

先週(6月29日週)のニューヨーク金先物価格(NY金)は、週前半に直近の安値を下回りテクニカル指標悪化の影響を思わせたものの、後半にかけて反発し、結果的に前週末比でプラス圏に戻すなど、荒い値動きとなった。7月3日が独立記念日の代休となったことで週末にあたる7月2日の終値は前週末比29.40ドル(0.72%)高の4,125.7ドルとなり、週足では反発に転じて取引を終えた。

レンジは3,955.4~4,157.1ドルで値幅は201.7ドルと比較的大きくなった。値幅の大きさの割に反発に転じていることは、売り込まれた下値で買いが入っていることを表していると解釈できる。

6月の月足は554.50ドル(12.1%)安で、4ヶ月連続の下落

週明け6月29日の市場は、3営業日ぶりに反落してスタートした。6月25日に発生したイランによる貨物船への攻撃を皮切りに、米国とイランの間で攻撃の応酬が再開し、和平協議の進展も不透明感となったことで原油価格が上昇した。インフレ懸念からFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ観測が強まったことが売り手掛かりとされた。

翌6月30日には、FRBの利上げ方向への政策転換を受けたテクニカル指標の悪化を背景に、さらに売りが優勢となった。アジア時間の午前に直近の安値を下回ると、一時3,955.4ドルまで急落した。これは2025年11月5日以来、約8ヶ月ぶりの安値水準となる。

6月単月での下落幅は554.50ドル(12.1%)に達して4ヶ月連続の下落となり、四半期(4~6月期)ベースでも前期末比640.10ドル(13.68%)安と、記録的な下げ幅となった。

ECB年次フォーラムでのウォーシュ発言

しかし、この8ヶ月ぶりの安値を付けた6月30日も、終盤にかけて買い戻しが入り、4,000ドル台を回復。週を通して終値ベースでの4,000ドル割れは回避された。

相場の空気が大きく好転する契機となったのが、7月1日にポルトガルの景勝地シントラで開催されたECB(欧州中央銀行)年次フォーラムでのウォーシュFRB議長による発言だった。パネル討論に登壇した同議長は、「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」と明言した。この発言が買い手掛かりとなり、同日のNY金は一時4,131.0ドルまで急伸、前日比43.90ドル高の4,082.40ドルと3営業日ぶりに大きく反発した。

なお、週初には米連邦最高裁判所がトランプ米大統領によるクックFRB理事の即時解任申し立てを退け、中央銀行の独立性が再確認されるという出来事も市場の注目を集めていた。

6月米雇用統計の減速が買い手掛かりに

さらに週後半にかけては、米経済指標の減速傾向がNY金の買い手掛かりとなった。7月1日に発表された6月のADP全米雇用報告では民間雇用者数が9万8000人増と市場予想を下回り、6月の米ISM製造業景況指数も53.3と前月から鈍化した。流れを方向づけたのが、独立記念日の関係で1日前倒しとなった7月2日に発表された6月の米雇用統計だった。

非農業部門の雇用者数(NFP)は前月比5万7000人増にとどまり、市場予想の11万人増(ロイター)を大きく下回った。5月分の増加数も下方修正され、6月30日に発表されていた5月の雇用動態調査(JOLTS)での採用件数減少(4万5000件減の517万件で2ヶ月連続の減少)と符合する結果となった。失業率は4.2%に低下したものの、トランプ政権の移民政策等の影響で約72万人が労働市場から離脱したこと(労働参加率の低下)が背景とみられている。

週末NY金4,100ドル超で終了

これらの米雇用の減速を受け、FRBの年内利上げ方針を過度に織り込んでいた市場では揺り戻しが発生した。主要通貨に対するドル売りと米国債の買い戻し(利回り低下)が進む中、NY金は買いが先行し、一時4,157.10ドルまで上昇した。終値でもテクニカル面で重要視される4,100ドルの節目を上回る4,125.70ドルで引け、一時的な急落から一転して下値を固める展開へと移行している。

JPX金週足は8週間ぶりの反発

先週(6月29日週)の国内金価格は、ほぼNY金の値動きに連動することになった。一方で先週(6月29日週)は米ドル/円相場が1ドル=162円台後半と約40年ぶりの低水準まで円安が進んだことが、国内金価格には下支え要因となった。

大阪取引所の金先物価格(JPX金)の週末7月3日の終値は2万2086円で週足は前週末比673円(3.14%)高で8週間ぶりの反発となった。NY金の週足上昇率が0.72%で、この上昇率の差は、一時162.85円(7月1日)まで進んだ円安によるものである。

レンジは2万1049~2万2240円で値幅は1191円と引き続き上下の振れは大きい。先週(6月29日週)の安値2万1049円は、前週6月25日に付けた7ヶ月ぶりの安値2万1032円に接近するものだが、円安がなければ下回っていた可能性が高い。

今週(7月6日週)の動き:6月FOMC議事要旨に注目、4,100ドル台浮上で底打ち感が出たNY金

6月FOMC議事要旨に注目

今週(7月6日週)は米国での主要な経済指標の発表が限られる中で、注目イベントは、ウォーシュ議長の下で6月16~17日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨の公表である。会合後に公表されたメンバーによる見通しでは19人中9人が年内に0.25%の利上げを少なくとも1回以上実施することを予想していた。政策金利を巡るFRB内の意見の相違や、ウォーシュ議長が公約しているFRBの情報発信の見直しについて、議論の有無や、あればその内容が明らかになりそうだ。また、ウォーシュ議長は運営方法の見直しに向けて、5分野のタスクフォース(検討部会)を新設すると述べていたが、どのような議論が交わされたのかが注目される。

経済指標では7月6日発表の6月のISM(米供給管理協会)非製造業景況指数に注目したい。

NY金については先週(6月29日週)末の4,100ドル台浮上で底打ち感が出てきたが、切り上げた水準を維持し、テクニカル要因改善の道筋が見えるか否かが注目される。