2026年5月19日(火)8:50発表

日本 2026年1~3月期四半期別GDP速報(1次速報)

【1】結果:3月期GDP速報は市場予想を上回る伸び、内需が底堅く推移

2026年1~3月期の国内実質GDPは前期比年率2.1%増と2四半期連続でプラス成長となり、ブルームバーグが集計する市場予想(同1.7%増)を上回る伸びとなりました。内訳をみると、内需では個人消費や設備投資の成長が支えとなり、前期比0.2ポイント寄与しました。外需に目を向けると、輸出が大きく伸びたことで純輸出は前期比0.3ポイント、実質GDPを押し上げました。

【図表1】2026年1~3月期GDP速報の結果
出所:内閣府よりマネックス証券作成
【図表2】実質GDP成長率と寄与度分解(季節調整値の前期比、%、%ポイント)
出所:内閣府よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:名目GDPは年率3.4%増の伸び/企業業績もリビジョンが上方修正

四半期ベースの名目GDPは677.2兆円と前期比0.8%増、年率ベースでは3.4%増と2四半期連続で3%を上回る伸びとなりました。GDPデフレーターは前期比0.3%増と物価の伸びは4四半期ぶりの水準まで低下しました。ここまで、物価による名目GDP拡大が主であったところ、今回の速報では実質GDPの成長がそれを上回っており、純粋な経済成長による伸びである点は評価できるポイントです。

企業の株価は、当該企業の「物価を反映した名目ベースの利益」を評価した価格であると言うことができます。もちろん価格転嫁を前提とした考え方となりますが、ここから名目の国内総生産(≒儲けである付加価値の合計)が拡大した際には、株も上昇する傾向にあるでしょう。

実際に図表3を見ると、コロナショック(2020年)以降のインフレ下においてTOPIXも上昇しており、歩調を合わせて推移していることが確認できます。期間中に米国・イスラエルによるイラン攻撃が始まり、中東情勢の不透明感が急速に高まりました。株価も不確実性を織り込み、2026年3月には下落が見られたものの足元では、TOPIXは再び最高値圏で推移しています。

中東情勢の影響は実質的には3月からであり、物資の供給など具体的な影響が出始めるのは足元の2026年4~6月期でしょう。今回のGDP速報値でその影響が限定的であったと言え、経済成長は底堅さを示しています。

【図表3】名目GDP(四半期実額)とTOPIXの推移(兆円、ポイント)
出所:内閣府、Bloombergよりマネックス証券作成

中東情勢の影響懸念に反して、個別企業の業績予想は堅調さがうかがえます。アナリストが集計する市場予想ベースの利益予想を確認すると、2026年はEPSベースで13.9%増が見込まれており、以降の2年間も二桁増益となっています。現に、3ヶ月前(2026年2月時点)と比較してもリビジョンが上方修正されており、国内株式市場への期待感は依然として大きいと考えられます。

【図表4】TOPIXのEPS成長率の推移(前年比、%)
出所:FactSetよりマネックス証券作成 *は先行きで市場予想コンセンサスの集計値 
※2026年5月19日時点

【3】所感:マクロの面では懸念多く、成長鈍化が金利高を容認できなくなる可能性

企業業績はある種、強気の見方がうかがえ足元の株高を支える要因となっています。一方で、マクロの面では中東情勢の影響から経済成長の伸び悩みが予想されています(図表5)。具体的には、足元で走っている2026年4~6月期と翌四半期の同年7~9月期において、3ヶ月前から伸び率が下方修正されています。原因として、原油高による輸入の拡大や家計の消費マインドの低下など懸念材料は多々挙げられます。

【図表5】先行きのGDP予想(前期比年率、%)
出所:内閣府、ブルームバーグよりマネックス証券作成、破線は先行きで市場コンセンサス集計値。薄青の点線は3ヶ月前の同コンセンサス。
※2026年5月19日時点

原油高などに対応するために、政府が補正予算を新たに組むといった報道もなされていますが、更なる金利高を呼ぶと懸念されています。足元の金利高は補正予算による追加的な財政懸念や原油高が財やサービスに波及することで、インフレの上振れを危惧したものと考えられます。

一般的に、経済成長に伴う金利上昇は良い金利上昇とみなされます。しかし、その一方で、財政赤字の拡大やそれにともなう債務残高GDP比の上昇などが意識されることで、国債の価格が低下する局面での金利上昇は、悪い金利上昇といった見方がされます。

両者の判断は難しい面もあるのですが、名目GDPの成長率は振れを伴いながらも水準が上昇しており、(多くはインフレによるものですが)足元の金利高は経済成長による面もあると考えられます(図表6)。

しかし、市場・日銀共に経済成長の鈍化を見込んでおり、海外勢の保有比率が高まる国債市場において、財政への配慮が重要と考えられます。マクロの観点では、経済下振れリスクと、悪い金利上昇が起きる可能性を意識する必要があるでしょう。

【図表6】名目GDP成長率と長期金利の推移
出所:内閣府、ブルームバーグよりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太