円金利上昇の現状・要因分解・見通し

・世界の長期金利が上昇するなか、米・英・独は2022年以降レンジ上限に接近する揉み合いだが、日本は低水準ながら上昇トレンドが継続し独自色が強い。超長期金利の上昇が目立ち、30年−2年の金利差の動きも日本は他国と異なる。

・日本の10年債利回りは2.7%台。潜在成長率0.4~0.7%(内閣府0.4%、日銀0.7%)にインフレ期待2%を加えたフェアバリューは2.4~2.7%で、現在水準は概ね整合。

・10年金利の上昇分解では、政策金利期待と財政要因(イールドカーブ形状を通じた需給・財政の影響)の寄与が大きかった。欧米は2026年3月の紛争発生前は利下げ観測だったが、紛争後に利上げ観測へ転換。日本は年内2回程度の利上げ織り込みで不変。「骨太の方針」や追加補正は上振れリスクだが、短期的には出尽くし感がある。一方、日銀の買入減額の中間評価と2027年4月以降の買入方針公表が近々の材料で、ここからの急速な一段高は想定しにくい。

金利上昇の株式市場への影響とセクター動向

・年初来リターンと金利の相関を33業種で確認しても有意な直線関係は乏しく、金利上昇が株式全体の重石になっていない。実際に株価指数は堅調に推移している。

・年初来上位はテクノロジー関連が中心で、銀行も金利上昇の恩恵で上位に入る。

・下位側には金利感応度の高いJ-REITが含まれるが、その他の低調業種は原油価格や半導体価格といった別要因の影響が大きく、金利単独の説明力は小さい。

投資環境の示唆と留意点(円債・J-REITの妙味、タームプレミアムのリスク)

・円債利回りがフェアバリュー圏に達し、「利回りの時代」に円金利も本格的に仲間入り。インカム獲得の選択肢としての魅力度が増した。

・J-REITは金利上昇で売られ、指数ベースのNAV倍率は約0.8倍、配当利回りは5%台。金利上昇が一服すれば逆風は和らぐ公算で、中長期のインカム狙いで関心を持つ余地がある。

・リスク要因としてタームプレミアムが歴史的高水準。ACM手法を参照した日本版推計では英トラスショック時を上回る水準で、長期金利が一時的に急騰する局面もあり得る。ただし、その場合は政策の巻き戻しが促されやすく、急騰は一過性にとどまる可能性があるという見立てだ。