2026年5月13日(水)日本時間21:30発表
米国 2026年4月PPI、他
【1】結果:4月のCPI前年比3.8%上昇、エネルギー関連のインフレが継続
2026年4月の米・消費者物価指数(CPI)は、ヘッドラインが前年同月比3.8%上昇と、市場予想(同3.7%上昇)を上回りました。食品・エネルギーを除いたコア指数(コアCPI)も前年同月比2.8%上昇と、市場予想(同2.7%上昇)を上回り、いずれもわずかながら市場予想を上回りました。
また、4月の米・生産者物価指数(PPI)では、コア指標で前年同月比5.2%上昇と、市場予想(同4.3%上昇)を大幅に上回り、インフレ加速が確認されました(図表1)。
【2】内容・注目点:財やサービスへのコスト転嫁の兆しが懸念材料
CPIないしはPPIが市場予想を上回る結果となったことで、市場では利上げ観測も持ち上がりました。エネルギーは、中東情勢の影響によりガソリン価格を中心に引き続き警戒されるものの、前月比では3.8%上昇と、3月から伸びの減速が確認されました(図表2)。一方で、サービスの大部分を占める住居費が前月比0.6%上昇したことなどが、利上げ観測の手掛かりとなっています。
もっとも、住居費の上昇は一過性の可能性があるとみています。現に、住宅価格関連の先行指標を確認すると、ディスインフレ(物価上昇自体は継続しているものの、そのペースが鈍化・低下している状態)基調は続いており、住居費の低下余地が見込めるためです(図表3)。中古住宅市場では供給制約が残り、住宅ローン金利も高止まりしていることなどが懸念材料です。今回のデータのように前月比ベースで下げ渋る局面が考えられるものの、トレンドとしてはディスインフレが続いていくものと考えています。
懸念材料は、4月PPIの大幅上昇に見られたように、原油高などを起点とするコスト上昇が、輸送・流通関連を中心に価格へ波及している可能性が示されたことです。PPIでは、原油高の影響が高いと想定される貿易サービスや輸送・倉庫サービスの上昇が押し上げ要因となりました。また、貿易、輸送、倉庫保管を除く最終需要サービスも前年同月比3.6%上昇と、3月の3.1%から加速しており、その他のサービス価格の基調的な底堅さも確認できます(図表4)。
今後、投入コスト上昇の価格転嫁がさらに広がる場合には、インフレ上振れリスクが意識されやすいと考えられます。サービス全般でも価格転嫁の兆しが見られる状況であり、今後の価格転嫁動向次第では一層のインフレ上振れが危惧されます。金融政策を担うFRB(米連邦準備制度理事会)にとって、少なくとも早期利下げの選択はしづらくなるものと想像しています。
【3】所感:中長期的な期待インフレへの波及が確認された際には利上げも現実的
インフレ加速を受けて、利上げ観測が浮上すること自体は自然な反応と言えるでしょう。
一方で、筆者は利上げ実施にはまだ距離があると想定しています。上振れする物価の水準次第ではあるものの、コストプッシュ・インフレへの対応策として、政策金利の引き上げによる物価抑制余地は限定的と考えられることが理由です。
期待インフレ指標などが人々の将来のインフレ予測に影響を与えるかがポイントでしょう。ニューヨーク連銀が公表する期待インフレ指標を見ると、足元の情勢を受けた短期的なインフレ上昇は確認できるものの、3年・5年といった中長期な水準では概ね横ばい圏の動きとなっています。
中長期的な期待インフレ指標にもう一段階上昇が見られるような場合には、利上げという選択肢が現実的なものになると想像しています。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
