急ピッチで広がる投機筋の円売り「行き過ぎ」
代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計を見ると円売りが拡大していることが鮮明だ。CFTC統計の投機筋の円ポジションは、6月2日時点で12.9万枚の売り越し(米ドル買い越し)に拡大した(図表1参照)。ここに来て、2026年に入ってからの円売り越し最高水準を更新する動きが続いている。
細かく見ると、円売り越しが12万枚以上に拡大したのは、2022年以降では2023年11月、2024年4~7月などに限られていた。そうした点から見ると、最近は投機筋の円売りが「行き過ぎ」との懸念が急速に広がっていると言えそうだ。
円高に転じた場合の損失を金利差がカバーする余力が低下
一つ気になるのは、これまで投機筋の円売り越しが12万枚以上に拡大した2023年11月、2024年4~7月に比べて、今回は日米金利差(米ドル優位・円劣位)がかなり小幅になっているということ。日米10年債利回り差で見ると、前者では4%前後と大幅だったのに対し、足下では2%を割れるまで縮小している(図表2参照)。
これは、為替相場が円高に転じた場合、金利差がその損失をカバーできる余裕が小さくなっていることを示している。また相場観が今の円先安予想から円先高予想に転換した場合、これまでより円買い戦略に転じやすくなっている面もあるだろう。
損益分岐点割れ含みが続くユーロ円の円売りポジション
ヘッジファンドの円売りポジションの損益分岐点の目安と見られる120日MA(移動平均線)は、足下157.6円程度で推移している。2026年に入り、米ドル/円は日本のゴールデンウィーク中の為替介入などをきっかけに何度か反落する場面もあったが、これまでは120日MAを大きく割れるまでには至らず反発に転じていた(図表3参照)。円売りポジションの損失への転換が回避されたことで米ドル買い・円売りが続いたとも考えられる。
逆に言えば、この先120日MAを米ドル/円が大きく割れるようなら、これまでより日米金利差によってその損失をカバーできる余力も小さくなっていると見られることから、円売りポジションの解消に伴う円の買い戻しが拡大する可能性もあるのではないか。
また、ユーロ/円の120日MAは、足下184.3円程度で推移しており、ここ最近はすでに120日MA割れ含みの状況が続いているようだ(図表4参照)。これを見ると、ユーロ/円など一部のクロス円の円売りポジションの損失への転換が先行し、それが米ドル/円にも波及するという可能性も要注意かもしれない。
