S&P500、ナスダック100ともに年初来最高値を更新、半導体株がけん引
先週(5月4日週)の米国株式市場は、イラン情勢と決算相場の綱引きの中で、週を通じてS&P500が+2.33%、ナスダック100が+5.5%と力強く上昇し、両指数とも年初来最高値を更新しました。週末5月8日(金)にS&P500は7399ポイント、ナスダックは29235ポイントで引けました。
今週(5月11日週)最大の注目点は、半導体株の異次元の上昇と言えるでしょう。アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]は好決算を受けて週間で約26%急騰し、時価総額が7,000億ドルを超えてビザ[V]やインテル[INTC]を上回りました。アカマイ・テクノロジーズ[AKAM]は+42.2%、サンディスク[SNDK]は+31.6%、マイクロン・テクノロジー[MU]は+37.7%、インテル[INTC]は+25.4%と、メモリー・半導体株が軒並み急騰しました。
また、先週5月8日にはインテルとアップル[AAPL]のチップ製造に関する予備合意が報じられ、インテルの月次リターンは+100%を超えるという驚異的な動きとなりました。
一方で、アーム・ホールディングス[ARM]は好決算にもかかわらず、自社チップ製造参入の発表が供給能力不足への懸念を呼び、-10%急落しました。
投資家の関心はマクロ指標より「AIと決算」に
セクター別では、情報技術が+7%となり、断トツの週間パフォーマンスを示しました。対照的にエネルギーは週間-5.4%となり、大幅に下落しました。5月4日(月)に「米軍艦がイランのミサイル攻撃を受けた」との報道でリスクオフに振れる場面もありましたが、停戦合意が維持されていることへの安堵から翌5日(火)以降は油価が一服し、市場は回復軌道に戻りました。
5月8日に発表された雇用統計は4月に11万5,000人増と市場予想(65,000人)を大きく上回り、失業率は4.3%で安定しました。しかし、市場の反応はほぼゼロでした。
投資家の関心はマクロではなくAIと決算に完全に絞られているということです。S&P500構成企業の89%が1Q決算を発表済みで、84%が利益予想を上回り、過去10年平均の76%を上回っています。84%が四半期の最終数値となれば、2021年第2四半期(87%)以来、S&P 500企業がポジティブなEPSサプライズを記録した割合としては最高となります。
強気相場に潜む脆弱性、「市場の広がり」の急速な縮小には警戒
ただし、今のマーケットで僕が一点強くハイライトしておきたいのは、目先の「市場の広がり(ブレッドス)の異常な細さ」です。5月8日のS&P500は+0.84%上昇したにもかかわらず、下落銘柄(295社)が上昇銘柄(208社)を上回っていました(一部の企業が議決権の異なる株式を上場しているため、銘柄数は503)。
4月以降のS&P500上昇の半分はアルファベット[GOOGL]、エヌビディア[NVDA]、アマゾン・ドットコム [AMZN]、ブロードコム[AVGO]、アップル[AAPL]の5銘柄だけで説明できます。このブレッドスの急速な縮小はドローダウン(ピークから谷=最高値から最安値)への下落幅下落リスクを示唆し、警戒感が必要です。
指数が最高値を更新しながら、S&P500構成銘柄の50%しか50日移動平均線を上回っていないという状況は、強気相場の中に潜む構造的な脆弱性を示しています。残りの銘柄が追いついてこなければ、宴の後に何が来るかを常に意識しておく必要があるでしょう。
今週(5月11日週)は重要インフレ指標の発表と米中首脳会談に注目
今週(5月11日週)の注目イベントは、5月12日(火)発表の4月消費者物価指数(CPI)、13日(水)の生産者物価指数(PPI)、14日(木)の小売売上高です。足元のインフレ率は3.7%とFRB(米連邦準備制度理事会)目標を大きく上回っており、利下げ期待は事実上ゼロ、むしろ追加利上げの可能性も小さくない状況です。
また、5月14日(木)にはトランプ米大統領と習近平中国国家主席の首脳会談が予定されており、貿易交渉とイラン情勢が議題に上がる見通しです。
決算では5月13日(水)のシスコシステムズ[CSCO]、14日(木)のアプライド・マテリアルズ[AMAT]などが注目されます。市場の過熱感が強い中、CPI(米消費者物価指数)や首脳会談の結果次第では相場が大きく揺れるシナリオも念頭に置いておきたいところです。
