S&P500は8週連続上昇、ダウ平均は年初来8回目の最高値更新を達成

先週(5月18日週)の米国株式市場では、S&P500は+0.88%、ナスダック100は+1.22%と、ともに週間プラスとなりました。これでS&P500は8週連続の週間上昇となり、2023年以来最長の連騰記録を更新しました。ダウ平均は、年初来8回目の最高値更新を達成しました。数字だけ見れば「買い一色」の週でしたが、市場の内側では複数の緊張が同時進行しています。

4月のCPI(消費者物価指数)が前年比+3.8%と予想を上回ったことなどをきっかけに、米国の30年債利回りは一時的に2007年7月以来の高水準となる5.198%に達しました。

FOMC議事録公表、追加利上げも選択肢

さらに、4月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公表され、「インフレが2%を持続的に上回るようなら、追加利上げも選択肢に入る」という踏み込んだ表現が確認されました。一部のエコノミストは「次の利下げは2027年まで見込めない」と指摘するほどです。

先週(5月18日週)のような金利上昇は本来株式には逆風のはずですが、市場はその重力に抗って上昇しました。現在は「これはパニックではなく、市場が金利の居場所を探す再調整(リキャリブレーション)の過程だ」という見方が有力です。米国とイランとの停戦合意への根強い期待もあるのではと思います。

FRB新議長、ケビン・ウォーシュ氏が就任

また、5月22日にはケビン・ウォーシュ氏がFRB(米連邦準備理事会)議長に正式就任しました。歴代議長は「株式市場は気にしない」と公言してきましたが、株式市場は景気の先行指標であり、ホワイトハウスも株価を強く意識しています。ウォーシュ新議長が市場とどう向き合い、どのようなコミュニケーションを取るかは、今後の重要な注目点の一つになりそうです。

エヌビディア[NVDA]決算、予想を大幅に上回る

先週(5月18日週)最大のイベントは、エヌビディア[NVDA]の決算発表でした。5月21日付レポート【米国株】エヌビディア、またも歴史を塗り替えた四半期ー需要が放物線を描いて急上昇。次の波は「AIが自分で働く時代」に執筆した通り、EPS(1株当たり利益)は1.87ドルで予想(1.75ドル)を大幅に上回り、売上高も816億ドルと予想(789億ドル)を超過しました。

AIインフラへの旺盛な需要を追い風に、四半期ごとに市場の期待を超え続けるという「エヌビディア・サイクル」が繰り返されています。S&P500の約8%を占める時価総額トップ企業として、市場全体への影響力は絶大です。

しかし市場の反応は、決算翌日、エヌビディア[NVDA]の株価は約2%下落し、週間では-8.7%と主要銘柄の中で唯一大きくマイナスとなっています。これはいわゆる「Sell the news(材料出尽くし売り)」の典型で、好材料はすでに株価に織り込まれていたことを意味します。

エヌビディア[NVDA]の決算は確かに強いものでした。ただ、エヌビディアの株価は、2025年8月の決算発表時から毎回事前予想を上回った決算を発表しているのですが、毎回翌日は株価が下落しています。エヌビディアに対する市場の期待値は毎回かなり高いのです。

2025年8月27日の決算発表の翌日から2026年5月15日までの株価の動きはと、約+19%上昇と、S&P500の+15.3%の上げ幅を上回っています。ですから、決算発表の翌日の反応はあまり気にする必要はないと言えるでしょう。

AIとデータインフラ関連は引き続き堅調、消費セクターは明暗が分かれる

AI向けデータセンター需要が強く、「長寿・健康」が次のテーマか

セクター別に見ると、AIとデータインフラ関連は引き続き堅調でした。デル・テクノロジーズ[DELL]やヒューレット・パッカード・エンタープライズ[HPE]といったサーバーメーカーは、AI向けデータセンター需要の強さを追い風に上昇しています。

量子コンピューティング向けの政府支援が材料となったアイビーエム[IBM]は、25年ぶりとも言われる週間上昇率を記録しました。

ヘルスケアでは、イーライ・リリー[LLY]が次世代の肥満症治療薬に関する良好なデータを受けて株価が大きく上昇しています。「長寿・健康」テーマが次のメガトレードになりうるとの見方も広がってきました。

消費セクターでは二極化が鮮明

ラルフローレン[RL]は好決算と10%の増配を発表し、株価が約14%急騰しました。富裕層を主要顧客とする同社への需要は衰えていません。

一方、ウォルマート[WMT]は予想を上回る決算を発表したにもかかわらず、通期ガイダンスの弱さを嫌気されて株価が7.3%下落しました。同社CFOは「低所得層の顧客がガソリンスタンドで給油する量が2022年以来初めて10ガロンを下回った。これはストレスの表れだ」と述べており、インフレが低~中所得層の生活を直撃している実態が浮かび上がっています。

先週の市場が示したメッセージは「強い企業収益+AI需要」という柱は依然として健在であると言うこと、そして、それが市場の重力に抗う力を生んでいます。

米国株の上昇トレンドは続きやすいと考える理由

2026年のS&P500のコンセンサス業績成長率は現在前年比+19%と、過去平均を大きく上回る水準です。このファンダメンタルズのエンジンが回り続ける限り、株式市場の上昇トレンドは続きやすいとみています。加えて、米国・イラン合意が現実のものとなれば、米国株を含む世界の株式市場にとって強力な追い風となります。

そうなると僕の2026年年末のS&P500のターゲットは7,700ポイントですが、思ったより早く達成する可能性が見えてきます。

今週(5月25日週)は重要指標の発表と消費とAIインフラ需要の最新動向を測る決算に注目

ただし、今週(5月25日週)は複数の重要指標が控えており、相場の方向性を左右する可能性があります。

5月28日(木)には米国のGDP改定値とPCEデフレーター(FRBが最重視するインフレ指標)が同時発表されます。名目GDPの合計値が6%程度になるとの試算もあり、インフレの根強さが改めて確認されれば金利上昇圧力が再燃しかねません。ウォーシュ新FRB議長にとってもデビュー後最初の試練となる数字だけに、市場の注目度は高いと思います。

また、コストコ・ホールセール[COST]とデル・テクノロジーズ[DELL]の決算発表も予定されており、消費とAIインフラ需要の最新動向を測る材料として注目しています。