米欧日の金融政策見通しの変化と為替への示唆

・地政学リスクの顕在化後、欧州と英国で年内を含む利上げ観測が急浮上し、米国も「利下げなし」方向まで織り込んだ。一方、日本は見通しがほぼ不変のままとなった。

・欧州は物価安定を最優先するマンデートからインフレ加速で利上げ方向に傾きやすく、米国は物価と雇用のデュアルマンデートにより様子見に傾きやすい構図が続く。

・当初想定された「日本は利上げ、欧米は利下げ」で金利差が縮小し円高に向かうシナリオが崩れ、円安圧力が残りやすい状況になった。

中期インフレ期待と原油ショックの時間差効果

・5年先5年インフレ期待は欧州では上昇し、米国では低下している。短期のインフレ圧力と対照的に米国では景気減速への懸念が強まっている。

・過去データの計量分析では、原油価格が50%上昇した場合、6ヶ月程度は利上げ圧力が強まり、その後(7~12ヶ月)は景気下押しを通じて利下げ圧力が優勢になりやすい。

・2022年時と比べ、米国の足元の中期インフレ期待は抑制的で、時間をかけて利下げ方向に戻る可能性が残る。一方、欧州はスタグフレーションリスクが重く、資産配分上も慎重視が必要な局面にある。

米国株と米国債の相関上昇と分散の効用

・2022年以降、米国株と米国債(価格)の相関係数が上昇しており、1990年代に見られた高相関局面に類似している。

・高インフレ局面やグロース優位の相場では「金利低下=グロース株追い風/金利上昇=逆風」が同時に働き、株と債券価格の同方向の動きが強まり、相関が高まりやすい。

・相関が正でも債券の株式に対する感応度は相対的に低く、REITやプライベート資産、金、ビットコインなどよりも分散効果を維持しやすい。景気減速局面では債券の妙味が高まり、シナリオ分散の観点でも有効性が残る。