2026年3月7日(土)、マネックス証券『お客様感謝Day2026』の締めくくりとして、第6部はパネルディスカッションを行いました。マネックスが誇る講師陣と豪華ゲストが登壇し、事前に寄せられた幅広い質問に対して、時間いっぱい回答しました。

【登壇者】
松本 大(マネックス証券ファウンダー)
広木 隆(マネックス証券チーフ・ストラテジスト)
岡元 兵八郎(マネックス証券チーフ・外国株コンサルタント)
吉田 恒(マネックス証券チーフ・FXコンサルタント)
塚本 憲弘(マネックス証券インベストメント・ストラテジーズ)
吉野 貴晶(マネックス証券チーフ・マーケット・アナリスト)
イェスパー・コール(マネックスグループグローバル・アンバサダー)
大槻 奈那 氏(ピクテ・ジャパンシニアフェロー)
司会:大橋 ひろこ 氏

Q.イラン情勢が市場に与える影響は?

一番多く寄せられた質問は、2月28日に発生したイスラエルと米国によるイラン攻撃と、その市場への影響についてでした。

岡元兵八郎(マネックス証券株式会社チーフ・外国株コンサルタント)

岡元「トランプ大統領は戦争を4、5週間で終わらせられる強い確信があって踏み切ったのではないでしょうか。当初の米国・イスラエル対イランという構図から、西側諸国対イランという大規模な対立に発展したのは想定外だったかもしれません。米国市場への影響については、物理的な距離や米国が世界最大の産油国であることから限定的でしょう。最終的には、米経済や企業にとって良い展開になるのではないかと考えています」

広木隆(マネックス証券株式会社チーフ・ストラテジスト)

広木「日本株市場については、やはり原油価格の上昇による打撃が痛いです。日経平均は6万円目前から5万3000円台まで下落しましたが、これはリスクを無視して走りすぎていた分の調整も含まれていると分析しています」

吉野貴晶(マネックス証券株式会社チーフ・マーケット・アナリスト)

吉野「過去の軍事攻撃のケースを分析すると3つのポイントがあります。日本株は原油高に脆弱であること、短期終結が重要であること、そして終結後は押し目買いのタイミングになることです。今は厳しい局面ですが、一つの押し目時と捉えるべきでしょう」

イェスパー・コール(マネックスグループグローバル・アンバサダー)

イェスパー「外国機関投資家の視点では、日本企業の業績の約6割が海外で創出されている点が重要です。原油が110ドルに達すれば世界成長を約1%押し下げ、日本企業の業績にマイナス10%の影響を与える可能性があります。また、この紛争は単なるエネルギー戦争ではなく、宗教戦争(ユダヤ・キリスト対イスラム)の側面があり、終結時期が不透明な点がリスクオフを招いています」

吉田恒(マネックス証券チーフ・FXコンサルタント)

吉田「為替市場では、従来のリスクオフ時の円高とは異なり、米ドル高が進行しました。これは日本が原油リスクに最も弱く、米国が最も強いという脆弱性の違いによるものです。160円攻防になれば、2024年とは異なり日本単独の介入は失敗するリスクがあります。円が暴落するか、米国を巻き込んだドル暴落かという重大局面を迎えています」

大槻奈那氏(ピクテ・ジャパンシニアフェロー)

大槻氏「原油上昇のインフレへの影響は、ガソリン暫定税率の引き下げや備蓄放出により、日本では限定的になる可能性があります。1974年のオイルショック時も日本は供給側のインフレをうまく抑え込みました。今回も企業努力と財政措置でショック的な事態は避けられると予測しています」

Q.AIの進化が市場に与えるインパクトは?

広木「AIには2つの懸念があります。データセンター向けの過剰投資懸念と、新たに浮上した『SaaS(Software as a Service)の死』リスクです。ただし、技術による代替は産業革命以来の自然な流れです。ここからは、AIに取って代わられるものと、AIをきっかけに強くなるものの『選別』の時代に入ります」

イェスパー「人口減少が進む日本は、雇用への悪影響がないため『AI天国』と言えます。特に物理的な世界と繋がる『フィジカルAI』における、日本の機械・センサーメーカーの優位性は圧倒的です」

松本大(マネックス証券ファウンダー)

松本「米国ではAnthropic社の『Claude Opus』などの登場により、システム開発時間が10分の1になると言われています。AIが自律的に判断・実行する『エージェントAI』への進化は、シンギュラリティに近いレベルに達しており、日本でもこの劇的な生産性向上を意識する必要があります」

Q.株の売り時は?子どもには何から教えたらいいの?

続いて、「株の売り時がわかりません。タイミングや基準を教えてください」「子どもが中学1年生です。そろそろ株を教えようと思うのですが何から教えたらいいでしょうか」という質問が紹介されました。広木に回答が振られると、「この本によるとですね」と自著『株はずっとあがるもの』を取り出して解説。

広木:「この本によると、日本株の市場全体ではPERが25倍を超えたらバブルだと思えと書いてあります。個別銘柄については、ウォーレン・バフェット氏が重視する『エコノミック・モート(経済的な堀)』がAIなどで崩された時が売り時です。ビジネスモデルの優位性がなくなれば、業績に関わらず手放すべきでしょう」

Q.自分に最適なアセットアロケーション(資産配分)は?

塚本憲弘(マネックス証券インベストメント・ストラテジーズ)

塚本「若いうちから株を持つと、世界へのアンテナが張れるので非常に良い勉強になります。資産配分の目安としては『年齢=安全資産の比率』という考え方があります。20歳ならリスク資産80%、80歳なら安全資産80%といった形です。年齢とともにリスク許容度を下げ、急落から回復するための時間を意識することが重要です」

司会:大橋ひろこ氏

Q.今後のリスク要因は?

終了時間が迫る中、各登壇者が今後の「最大のリスク」を一言ずつ挙げました。

吉野「AI・半導体相場への集中リスク。成長期待が持続できなくなる局面を注視しています」
岡元「トランプ米大統領。最大の不確定要因であり、何をするか分かりません」
吉田「米ドルの死滅可能性。1998年のように相手(米国)がこけて円高へ急転換するリスクに注目しています」
塚本「米国の利上げ圧力。景気過熱による想定外のシナリオもあり得ます」
大槻氏「プライベートアセット(非上場資産)の動揺がどこまで拡大するか」
広木「米軍によるメキシコ麻薬カルテルへの軍事攻撃」
イェスパー「米中接近による日本車への構造的逆風。中国EVの米国生産容認などのシナリオです」
松本「高市氏の政治的失速。日本の新しいインフラ投資を牽引する方向性が変わるリスクです」

閉会のあいさつ

最後は、松本による閉会のあいさつです。

松本「我々ができる最大の感謝の表し方は、皆様の投資生活をサポートすることです。今何が起きているのかを分かりやすく伝え、適切なポートフォリオや心構えを提案することこそが我々の存在意義です。皆様からの『こんな情報が欲しい』という声こそが一番の羅針盤になりますので、ぜひ積極的なご意見をお寄せください。グループ全体で、皆様をしっかりと支えてまいります。本日はありがとうございました」

来場者/オンライン参加の声

マネックス証券「お客様感謝Day2026」に参加・視聴された方の声をご紹介します。

大変わかりやすく、充実していました。特にテスタさんと桐谷さんの手法が違っても、資産は増やせるということが大変、参考になりました。リスクを押さえて、資産を増やす。また次回も楽しみにしています。

オンラインで1人笑いながら楽しく勉強になり、有意義な時間を過ごさせていただきました。皆さんユーモアもあって面白いので内容が頭に入ってきます。NISA開設でマネックス証券を利用して2年目になります。2026年初の視聴でしたが来年も是非参加させていただきたいです。広木さんの本も拝読しようと思います。

投資家の講演もよかったが、今回は地政学リスクについての中林さんの基調講演と、中島さんのお話が特に印象に残りました。生成AIの最近の進歩のペースがとても速く、投資だけでなく、産業革命のように、社会構造自体を大きく変えていくのではないかと感じているので、今後もエンジニアや研究者の話を聞きたいと感じました。

第1部でハッチさんが中島さんにMicrosoftのCEOが500ドルのiPhoneは売れないと言ったという話題を話し始めた時に「そんなことがあったんだ!」と興味が湧いて、セミナーに引き込まれました。

特に基調講演での中林美恵子氏のお話はとても興味深く聞けました。背景にあるアメリカ国民の感情に今後ともアンテナを高くしておければと感じました。

知識の浅い私でも付いて行ける内容で興味深いものでした。またお願いいたします。

株式投資全般についてリスク認識の重要性を再確認しました。

状況の変化が激しいので専門家の方々の考察をタイムリーに伺えるメリットは大きいと考えています。

地方在住者です。WEBでセミナー等に参加できるのはありがたいです。マネックスのおかげで資産も増えてきました。取り崩しについても知りたい年齢になりました。

プログラム:

開会挨拶
第1部    米国株パネルディスカッション:IT起業家・中島聡氏が語る、テクノロジートレンドと米国株の展望
第2部    基調講演:中林美恵子氏×松本大が紐解く、日米関係と今後のマーケット
第3部    相川 七瀬氏ミニライブ(近日公開予定)
第4部    ファンド一武道会
第5部    日本株鼎談:大注目の「日本株鼎談」!テスタ氏・桐谷広人氏が語る投資術
第6部    パネルディスカッション

「マネックスオンデマンド」お客様感謝Day2026