マネックス証券は、2026年3月7日(土)、『お客様感謝Day2026』を開催しました。第1部ではマネックス証券の岡元兵八郎(ハッチ)と、ゲストに一般社団法人シンギュラリティ・ソサエティ代表理事・中島聡氏を迎え、米国株パネルディスカッションを行いました。中島氏は米国からオンラインで登壇し、司会進行は大橋ひろこ氏が務めました。

ソフトウェアエンジニアの視点で見る米国株投資

 

中島氏は1986年からマイクロソフト[MSFT]で働き始め、Windows95を設計した伝説のプログラマーとして知られています。現在は米国を拠点にソフトウェア事業を展開。中島氏が配信するメルマガ「週刊 Life is beautiful」では、さまざまな最新の技術動向が紹介されています。購読すると米国株投資の参考になるという理由から、エンジニアだけでなく投資家の読者も多いといいます。

中島氏の米国株投資の始まりは、1989年に米国に移住した際、持ち株会やストックオプションで購入したマイクロソフト株でした。

中島氏「2000年にマイクロソフトを退職した後、分散投資の必要性から本格的に米国株投資を開始しました。ITバブル初期には投資で損した経験もあります。その教訓として、自分なりに技術的に納得できる会社に投資するスタイルをとり始めてからは、うまくいくようになりました」

中島氏の最大の成功事例はアップル[AAPL]への投資でした。2003~2004年頃に初めて購入した同社のパソコンの品質に感銘を受け、同社の株を購入。さらにiPhone発表時に大きく買い増したことが、高い成果につながったといいます。

岡元「アップルがiPhoneを初めて発売した際、当時のマイクロソフトのCEOが『500ドル?キーボードもついていないじゃないか。ビジネスマンはこんなものは使えない。売れるわけがない』と断言しました。それに対してどう思いましたか?」

中島氏「1999年ごろから、日本人はiモード経由でインターネットにアクセスし、銀行口座にアクセスしていました。それもエンジニアだけでなく、普通の人がやっていたのです。2002~2004年ごろ、携帯電話から銀行口座にアクセスできていたのは日本人だけでした。iモードが世界制覇するのではないかと期待していましたが、起こらなかった。じゃあ誰が、と待ち構えていました。だからiPhoneの値段は関係ないですね。絶対に流行ると思いました」

エンジニアの間でエヌビディア[NVDA]が注目された転機は2012年

マネックス証券株式会社チーフ・外国株コンサルタント 岡元兵八郎

次に、岡元が米国株をけん引するAI半導体の覇者、エヌビディア[NVDA]の市場評価について解説しました。

岡元「2025年10月末、エヌビディアは世界で初めて時価総額5兆ドル(780兆円)に到達し、世界で最も注目されている企業になりました。エヌビディアはもともとゲームのGPUとして成長し、今やAIブームの中心企業となっています。AIブームの始まりは2022年11月、OpenAIのChatGPTの公開です。そこから、2026年3月までにS&P500は67%上昇、エヌビディア株価は964%上昇しています。この背景には、エヌビディアのGPUの優位性に加え、CUDA(クーダ)というプラットフォームをユーザーに提供してきたことがあると思います」

一方、エンジニア視点から見ると、もっと早い段階でエヌビディアは注目されていたと、中島氏は指摘します。

中島氏「2012年、AI研究者による画像認識のコンテストで、エヌビディアのGPUを使うと画像認識の制度が大きく向上することを発見し、実証したグループがいました。それが『AlexNet』というモデルで、これがAIブームの始まりです。ゲーム用に作られたGPUを使うことで高速処理が可能になり、その際に使われた開発環境が、エヌビディアのCUDAでした。その後、様々なAI研究者がCUDA上でプログラムを書くことで研究資産が蓄積され、同社は業界標準の地位を確立しました」

岡元「エヌビディアの株価は、近年、大幅上昇を遂げたものの、現在はPERが低下し、割安圏にあります。市場は将来の成長持続性に対して慎重ですが、私は3月16日のGTC(開発者会議)などが再評価のトリガーになるとみています」

生成AIが雇用にもたらす影響

一般社団法人シンギュラリティ・ソサエティ代表理事 中島聡氏

生成AIの台頭について、中島氏は自身の仕事が「コードを書くこと」から「AIに指示を出すこと」へ変化したと述べ、これを「40年間のプログラミング経験で最大のインパクト」と表現しました。

中島氏「現在のAIは大卒新卒レベルの知能を持っており、簡単な事務作業はAIの方が正確かつ安価に実行できます。8割程度のホワイトカラーの仕事がAIに置き換えられても不思議ではありません」

岡元「3月6日発表の米雇用統計では、2月雇用が9.2万人減という予想外の結果でした。知り合いのエンジニアリング専攻の学生が、仕事が見つからず卒業後に中華料理店のウェイターのアルバイトをしている話もあります。変化が激しく、予想ができない展開が起きていますが、生産性の向上は企業業績にプラスに働きます。一方で、消費者の数が減ってくるのでは」

中島氏「AIを使いこなせる人が100人分の仕事をこなす一方で、富裕層の割合が減り、貧富の差が拡大する状況が同時に起こるでしょう」

AIによる社会変化と投資機会、注目銘柄

司会 大橋ひろこ氏

大橋氏「AIによる変化で、投資機会としてはどのような広がりがあるのでしょうか」

中島氏「テスラも一般消費者向けのロボットを2026年ごろから販売を開始する予定です。普及には10年ほどかかるでしょう。自動車ぐらいの値段で買えるようになり、料理や掃除、介護などの用途で活用されるでしょう。特に少子高齢化が進む日本ではニーズが高いことが予想され、介護や孤独死の問題を解決する手段として、AIやロボティクスに今のうちに投資しておくといいでしょう。世界のリーダーといえるポジショニングを日本企業は取れると思っています」

岡元「私はエヌビディアの歴史的な割安水準、テスラの自動運転とロボティクス事業、アマゾンの倉庫自動化などに注目しています。マグニフィセントセブン銘柄の調整はチャンスです。万が一の保険として、一部でも米国株の資産を持つことはとても大切です」

中島氏「私は米国在住で財産の半分は米国株です。私はテスラのような、ビジョンのあるCEOがぐんぐん引っ張っていく会社がいいと思っています。米国が元気なのは、そうした新しい人がどんどん生まれて、新しい企業が伸びていく。そこに魅力を感じています。自分が楽しいと思うものと、自分のポートフォリオを一致させるやり方が私は好きなので、できればそのぐらいの思いを持って米国株に投資をするといいのではないかと思います」

プログラム:

開会挨拶
第1部    米国株パネルディスカッション:IT起業家・中島聡氏が語る、テクノロジートレンドと米国株の展望
第2部    基調講演:中林美恵子氏×松本大が紐解く、日米関係と今後のマーケット(近日公開予定)
第3部    相川 七瀬氏ミニライブ(近日公開予定)
第4部    ファンド一武道会
第5部    日本株鼎談:大注目の「日本株鼎談」!テスタ氏・桐谷広人氏が語る投資術(近日公開予定)
第6部    パネルディスカッション(近日公開予定)

「マネックスオンデマンド」お客様感謝Day2026