マネックス証券は、2026年3月7日(土)に『お客様感謝Day2026』を開催しました。
第2部では、早稲田大学教授の中林美恵子氏とマネックス証券ファウンダーの松本大による基調講演を行い、「政治が市場を動かす時代に投資家は何を見るべきか」をテーマに、激動の世界情勢の変化と、投資への影響について語りました。

世界情勢への不安とトランプ政権の動向

冒頭、松本が来場者に現在の世界情勢への不安を問いかけたところ、会場の多くの手が上がりました。これを受け、中林氏が米国の政治状況について詳細な分析を語りました。

早稲田大学教授 中林美恵子氏

中林氏「2月28日のイランへの軍事攻撃は、まさに奇襲でした。攻撃は48時間で相当なダメージを与え、イランの国防軍、革命防衛隊の本部、軍事基地、核開発施設などが標的となりました。この攻撃は、事前に予定されていた3月2日の米イラン交渉を無視して実行されました。また、トランプ米大統領による国際緊急経済権限法(IEEPA)の行使が、米最高裁で違憲判決を受けたことについても解説しました。この法律は関税をかける権限を大統領に与えるものではないにもかかわらず、トランプ米大統領が拡大解釈して各国に関税をかけていたことが問題となりました。現在は通商法第122条を使って10%(150日間限定で15%が上限)の関税をかける緊急措置をとっています。トランプ米大統領の支持率は43.2%にとどまり、イラン攻撃後もほとんど上がっていません。これは過去の大統領の軍事行動時の支持率上昇と比較して、非常に低い数値です」

迫る中間選挙と、米国内の深刻な格差問題

中林氏「2026年11月3日に予定されている中間選挙では、下院435人全員が改選となり、民主党が過半数をとる可能性もあります。背景にあるのは、物価の高止まりやなかなか解消されない深刻な格差です。学歴による平均寿命の差は顕著で、高校未卒業者が約70歳に対し、大学卒業者は80歳を超えています 。こうした構造的な不満がトランプ現象を支えてきましたが、物価高の放置は期待を裏切ることになります」

効率性からイデオロギー主導へ。変容する戦争形態と国際秩序

マネックス証券ファウンダー 松本大

松本「現代の戦争はコストのあり方も変わりました。イランのドローンが約300万円なのに対し、迎撃するパトリオットミサイルは1発約6億円です 。3月6日もサウジアラビア向けミサイル6発の迎撃に36億円が投じられました 。こうした非対称性は投資の視点でも重要です。また、元カナダ首相のマーク・カーニー氏は『これまでの効率性や市場中心の経済から、イデオロギーや政治が主導する時代に変わった』と述べています」

中林氏「第二次世界大戦後に続いてきた国際秩序を保つために、米国は世界の警察としての責務を果たし、米ドル含め、経済の公共財もずっと提供してこなければいけなかった。これに対する重荷感や矛盾を相当の米国民が感じた結果がトランプ米大統領の誕生につながったのであって、決してトランプ米大統領一人が原因や帰結だということでは終わらない。アメリカ研究者や学会を含めて、最近話題になることは、戦後80年が『異常』で、米国はその前の状況に戻ろうとしているのではないかということです。2026年11月の中間選挙で民主党が勝ったとしても、完全に元の米国に戻ることはないでしょう」

経済安全保障の観点から日本が持つべき「強み」

中林氏「イラン戦争は米国民の心に大きな影響を与えており、着地の仕方によっては、大きなしこりを残す可能性があります。そうした情勢において、日本は経済安全保障の観点から、何か強みを持つ必要があります。米国がどうしても日本に頼らなければならない技術や製品を持つことが、今後の世界秩序の中では絶対に必要です」

松本「例えば半導体製造装置や静電チャック、有機ELなどで、世界シェア70~80%を占める日本企業は多くあります。日本には巨大な預金があり、それをデータセンターや半導体工場、防衛インフラなどの産業投資へ向ける時代が戦後久しぶりに来ていると感じます 。きな臭い世の中ではありますが、投資の観点ではしっかりとみていくべき妙味があるはずです」

中林氏「国際秩序が変わりつつある中、先がなかなか見えない不安が勝ってしまうのですが、戦略を考える中で、日本にある資本の力をどう使うかという新しい発想の転換が起これば、ある意味チャンスをつかむことにもなるのではないでしょうか。一方で、米国債を一番購入しているのは日本で、日本に変なことをされると米国は困るという側面もあります」

松本「いま世界で起きていることはきな臭いというか心配ですが、投資という観点では、しっかりと見ていくべきところがあるのではないかと思っています」

中林氏「日本を救うのは結局のところ投資だと思います。投資家の皆さんが将来を見据えて、正しい判断をすることによって、日本は救われていくと思います。また、企業が技術を盗まれないよう、どれくらいセキュリティ対策をしているかというところも判断していただきたいと思います」

プログラム:

開会挨拶
第1部    米国株パネルディスカッション:IT起業家・中島聡氏が語る、テクノロジートレンドと米国株の展望
第2部    基調講演:中林美恵子氏×松本大が紐解く、日米関係と今後のマーケット
第3部    相川 七瀬氏ミニライブ(近日公開予定)
第4部    ファンド一武道会
第5部    日本株鼎談:大注目の「日本株鼎談」!テスタ氏・桐谷広人氏が語る投資術(近日公開予定)
第6部    パネルディスカッション(近日公開予定)

「マネックスオンデマンド」お客様感謝Day2026