2026年4月3日(金)日本時間22:30発表
米国 2026年3月雇用統計、他
【1】結果:雇用者数、失業率ともに改善 労働力人口がピークアウトか
2026年3月の非農業部門雇用者数は前月比17.8万人増となり、市場予想の6.5万人増を上回りました。また、失業率は4.3%と前回(2月)から0.1%ポイント低下し、労働市場の改善が示されました。
非農業部門雇用者数は、2月の前月比13.3万人減に落ち込んでいた反動が出たものと考えられます。実際に、前月比をならした3ヶ月移動平均ベースでは6.8万人増となりました。中長期的なトレンドを確認すると、底打ち感も見られます(図表1-1)。
内容を見ると、2026年3月は政府部門を除いて増加する結果となりました(図表1-2)。前月は「医療・教育」セクターの雇用者数がストライキの影響で減少しましたが、一過性の減少にとどまり、そのほかのサービスも持ち直しました。政府部門は8,000人減と、一時期と比較すれば改善傾向にあるものの、依然として雇用の縮小トレンドが続いています。
失業率は小数点以下2位までの数値では4.26%となり、前回から0.18%ポイント低下しました(図表2-1)。就業率、労働参加率も低下しました。現政権下で進められている移民政策などにより、労働力人口のピークアウトしつつある点が影響しています。
【2】内容・注目点:先行きの労働市場は改善見込みも、不確実性が採用縮小につながるリスク
労働市場の改善を受け、市場では次回の利下げを急ぐ必要はないとの見方が広がっています。実際に雇用統計公表後、短期債利回り(2年債利回り)は約6ベーシスポイント上昇し、4月3日の債券市場は3.86%で取引を終えたほか、4月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で9割以上の確率で政策金利の据え置きが見込まれています。
マクロの観点では、中東情勢の影響で雇用以上に物価にフォーカスする局面といえ、実際に物価の上振れが他の分野にも波及し、雇用も今回のように市場予想を上回って推移する状況が続けば、次のアクションが利上げとなる可能性もあるでしょう。先行きの労働市場は、緩やかな回復が続いくことをメインシナリオとみています。理由は、各連銀が公表するサーベイデータを平均化した雇用指標では製造業・非製造業ともに先行きの雇用環境の改善が期待できるためです(図表3)。
一方で、物価のみならず、長期化が懸念される中東情勢や中間選挙などのイベントを控えた、不確実性が企業の採用活動を消極的にさせるリスクは相応にあるともみています。そのため、労働市場はある程度底堅く推移すると見込まれるものの、ここ数ヶ月のように一進一退の様相が続くと考えられます。その点では、雇用は力強いものではないと評価でき、利上げ判断は(可能性は低いですが)経済面でのリスクが大きいと想定しています。
【3】所感:2026年内の追加利下げなしも視野に
利上げには至らないとしても、足元では追加利下げへのハードルが高まってきています。図表4は、Bloombergが公表しているFedspeak指数で、FRB(米連邦準備制度理事会)高官の発言によるニュースヘッドラインを基に作成された、金融政策センチメントを表す指数です。0を上回ればタカ派的とされ、一方で、0を下回る局面ではFRB高官の発言からはハト派スタンスが読み取られます。同指数からは、2026年に入り、再びタカ派寄りの発言が増えてきていることが示唆されます。
直近2026年3月のFOMCでは、2026年の政策金利は3.4%と約1回の利下げが見込まれているものの、政策金利の据え置きを支持するメンバーが前回会合比で増えています。当然、足元の中東情勢の影響もFRBメンバーは重視しているでしょうし、それに伴うインフレ懸念からよりタカ派的なメンバーが増える可能性が指摘され、2026年の追加利下げなしも視野に入る局面と言えます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
