先週(5月18日週)の振り返り=米ドル/円は159円前後の小動きに終始
介入開始の水準まで戻ってきた米ドル/円=日米金利差拡大に連動
先週(5月18日週)の米ドル/円は、159円前後での小動きに終始しました(図表1参照)。原油などエネルギー価格の高値圏での推移が続く中で、インフレ再燃への懸念から米金利が上昇し、日米金利差(米ドル優位・円劣位)が拡大したことが米ドル高・円安を後押しする一方で、160円が近づくと日本の通貨当局による円安阻止介入への警戒感が強く、上下に動きづらかったということでしょう。
日本のゴールデンウィーク(GW)中に始まったと見られている米ドル売り・円買い介入により一時155円まで米ドル安・円高となりましたが、先週にかけては、介入を開始したと見られた水準まで、ほぼ米ドル高・円安に戻ってきました。
ある意味では介入効果が帳消しになったかのように、この米ドル/円の反発は、かなりきれいに日米金利差拡大と連動したものでした(図表2参照)。そしてその日米金利差拡大は、米金利の上昇が主因でしたが、ではなぜ米金利は上昇したのでしょうか。
金利差拡大の主因は米金利上昇=原油高長期化と米利上げ見通しが影響
米金利は、2026年2月末の米国などによるイランへの攻撃以降、原油価格が急騰すると、その原油価格への連動性が高くなりましたが、この関係には先週(5月18日週)少し変化が見られました。イラン危機の終結への期待などから原油価格が下落傾向となったものの、米金利は上昇傾向が続きました(図表3参照)。これは、原油価格の高値圏での推移が長期化する中で、インフレへの懸念から米利上げ観測が高まり、米金利が短期の原油価格の変動よりも、その米利上げ見通しにより反応するようになったためと考えられます。
以上のようにみると、日本の当局が円安の阻止や円高への反転を目指す為替介入を行っても、原油高とそれを受けた米利上げ見通しが変わらなければ介入効果も限られることになりそうです。
逆に言えば、イラン情勢の解決見通しから原油高が修正される動きとなった場合、米金利低下とそれに伴う日米金利差縮小という米ドル安・円高の可能性を踏まえ、当局が為替介入の再開し、円高への反転に活用する可能性も少し頭に入れておく必要はあるかもしれません。
今週(5月25日週)の注目点=円安阻止は米国との連携が鍵
2024年までの日本単独の円安阻止から変化=日米の利害が一致する可能性
日本の通貨当局は、2024年も今回と同じように、160円程度の水準から米ドル売り介入を開始し、円安を止めた上で円高へ反転させることに成功しました。ただし、米ドル/円の5年MA(移動平均線)かい離率を見ると、同じ160円の水準でも2024年と足元では円安の「行き過ぎ」懸念に大きな差があります(図表4参照)。2024年と異なり、円安の「行き過ぎ」懸念がそれほど強くない最近の160円では、2024年と同じく日本単独の為替介入により円安を止めるのは難しいのではないでしょうか。
今回も160円で円安阻止の介入に動いた背景には、2024年までとは異なる理由があり、たとえば円安阻止をめぐる日米間の利害一致など、米国との連携が注目されます。2026年5月中旬来日したベッセント米財務長官は、日本の低金利や財政規律への懸念などが投機的円売りの理由とされていることについて、見直しを要請したとの見方があります。
その上で、日本の当局による米ドル売り・円買い介入を容認しました。さらに、米当局も日本との協調介入に動くかどうかについては、米国が米ドル高に困る状況にあるわけではないため、否定的な見方が基本のようです。いずれにしても、円安阻止と円高への反転は、その点で米国がどれだけ連携しているかが鍵になるのではないでしょうか。
円高への反転は120日MAが分岐点=今週(5月25日週)の予想レンジは157~160円
2022年と2024年は、為替介入で円安が止まった後、120日MA割れで円高への急反転に向かいました。このように米ドル/円が120日MAを割り込んだ後、円高が拡大したのは、為替介入のなかった2023、2025年にも見られた現象でした(図表5参照)。これは、代表的な投機筋であるヘッジファンドの円売りポジションの損益分岐点が120日MAである影響が考えられました。
上記のとおり、120日MAは足元では157円程度となりました。為替介入などにより日米が連携して円安が止まったなら、その後は120日MAの位置する157円を割り込む局面で、ヘッジファンドなど投機筋が、円売りポジションの損失拡大を回避するために円買い戻しに転換するかが、円高への反転におけるもう1つの鍵になりそうです。以上を踏まえ、今週(5月25日週)の米ドル/円は157~160円で予想します。
