投機円売りと損益分岐点、120日MAの関係

ヘッジファンド(以下ヘッジF)の取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、GW中に日本の通貨当局が米ドル売り・円買い介入に出動したと見られると、円売り越し(米ドル買い越し)が4月28日時点の10.2万枚から、5月5日時点では6.1万枚まで縮小した。ただ、その後は2週連続で円売り越しが拡大し、5月19日時点では9.3万枚となり、為替介入が行われたと見られる前の水準に迫るまで拡大した(図表1参照)。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

日本の為替介入と見られる動きを受けて、米ドル/円は一時155円割れ近くまで急落した。ヘッジFの円売りポジションの損益分岐点は120日MA(移動平均線)が目安とされており、為替介入とみられる動きを受けた米ドル/円の急落は一時この損益分岐点割れをもたらした(図表2参照)。これにより、損失拡大を回避するため円売りポジションを処分する動きが広がったことが、円売り越し急縮小の主因と考えられた。

【図表2】米ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ただその後、米ドル/円は日米金利差(米ドル優位・円劣位)拡大に連れる形で上昇を再開した(図表3参照)。こうした中で、足下で157円程度を推移している120日MAを再び上回るところとなった。損益分岐点と見られる120日MAを米ドル/円が上回ったことにより、ヘッジFの円売りポジションは含み益に転じたと見られ、改めてそれを拡大したと考えられる。

【図表3】米ドル/円と日米金利差(2026年4月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

介入再開なら120日MAの157円割れの円高誘導が鍵

10万枚程度の円売り越しは、2024年の円安阻止介入局面には及ばないものの、2022年の介入局面とは近い規模と言える(図表4参照)。米ドル高・円安が、GW中に日本の当局が介入を開始した水準までほぼ戻ってきたことを考えると、さらに米ドル高・円安となった場合は介入が再開される可能性が高いのではないか。

【図表4】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

その場合の介入戦略としては、損益分岐点割れによりヘッジFを円売りポジションの処分で円買い戻しに転換させることが意識されるのではないか。具体的には、足下で157円程度の120日MAを大きく割れるまで米ドル安・円高へ介入により誘導できるかが鍵になりそうだ。