バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の最新の新規購入銘柄はデルタ航空[DAL]とメーシーズ?

著名投資家ウォーレン・バフェットは1942年、11歳で初めて株式を購入してから80年あまりの長い投資経験の中において、ドットコムバブルの期間もテクノロジー株への投資を避けたことで知られている。それは彼がインターネットを信じていなかったからではなく、勝者を事前に見極めることができないと分かっていたからだ。

20年以上前のドットコムの時代、アマゾン・ドットコム[AMZN]、アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]らは暴落を生き延び、やがて巨大企業へと成長した。投資家は本能的に勝者を選ぼうとする。しかし問題がある。

勝者を見極めるのは後から振り返ればいとも簡単だ。しかし、バブルの最中にリアルタイムでそれを実行するのは、ほぼ不可能である。生き残ったアマゾンやアップル、マイクロソフトのような企業がある一方で、無価値になった企業は無数にある。渦中においては、それらを見分けるのはほぼ不可能だった。

5月15日、バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の2026年1-3月期のフォーム13Fが公開された。アマゾンやドミノ・ピザ[DPZ]、マスターカード[MA]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]等、15銘柄の保有株を全て手放す一方、デルタ航空[DAL]と百貨店メーシーズの株式を新たに取得。3月末に保有する銘柄は26銘柄と、2025年12月末に比べて13銘柄減少した。

【図表1】バークシャー・ハサウェイの2026年3月末時点の保有銘柄と2025年12月末時点の保有銘柄
出所:フォーム13Fより筆者作成

バークシャーはグーグルを傘下に持つアルファベット[GOOGL]のポジションを約3.2倍に増やし、3月末の持ち高は5783万株となった。評価額は約166億ドルとバークシャーの上場株ポートフォリオ全体の6%を占め、オクシデンタル・ペトロリアム[OXY]に次ぐ7位となった(3ヶ月前は全体の2%で10位)。

【図表2】バークシャー・ハサウェイが保有する上場株式上位10銘柄(2026年3月末)
出所:フォーム13Fより筆者作成
【図表3】バークシャー・ハサウェイが保有する上場株式上位10銘柄(2025年12月末)
出所:フォーム13Fより筆者作成

アマゾン・ドットコム[AMZN]の株はすべて売却か

日本経済新聞の5月16日付の記事「米バークシャー、Amazon株全て売却 アルファベット株は買い増し」は、期中の銘柄入れ替えが活発だった背景として、2025年12月に退社した元運用担当者トッド・コームズ氏が運用していた銘柄を売却したとの観測が、市場で出ていることを取り上げている。

また、2026年3月末に、バフェット氏が米CNBCのインタビューで「今でもバークシャーの投資判断に深く関与し続けており、最近ごくわずかな新規購入を行った」と語ったことを引用しつつ、バフェット氏は事業モデルがわかりにくい銘柄には投資しない方針をとっていることから、インタビューで語られた新規購入はデルタ航空やメーシーズではないかとの見方を伝えている。

3年以上にわたり株式を売り越しているバークシャー、手元キャッシュは4000億ドル弱に

バークシャーは世界で最も現金を保有している企業である。ヴィジュアル・キャピタリストの2月20日付の記事「Ranked: The Companies Holding the Most Cash in the World(ランキング:世界で最も現金を保有している企業)」によると、その額はマイクロソフト、アルファベット、アマゾンの合計額を上回るという。

バークシャーの現金保有は規制上のものではなく、戦略的なものである。歴史的に見ると、経済または市場が混乱し、資産価格が平均回帰し、そこで大胆に資本を投入するタイミングと一致している。それまでの間、バフェット氏は静かに資金を蓄積している。

米ネブラスカ州オマハで5月2日、バフェット氏がCEOを退任してから初となるバークシャー・ハサウェイの年次株主総会が開催された。後継のグレッグ・アベル氏が初めて主導したこのイベントは、バークシャーの次世代への転換を改めて知らしめた。それと同時に、バフェット氏のレガシーを継承しつつも、より組織的で、透明性の高い現代的なコングロマリットへと進化していくバークシャーの姿を印象づけるものとなった。

2026年1月、アベル氏は初めて執筆した「株主への手紙」の中で、バークシャーの莫大なキャッシュの山を「投資待機資金」と表現した。「金融市場に嵐が吹き荒れて他者が恐怖に駆られる時でも揺るぎなく投資できる」とし、事業投資や株式投資を通じて「米国債の保有よりも生産的な事業の所有を常に目指している」として、投資機会を常に模索していると述べた。

アベル氏はバフェット氏が築き上げた「要塞のようなバランスシートを維持し、バークシャー社の基盤が決して損なわれないようにする」と述べるとともに、バークシャーの現金について「ドライパウダー(手元資金)」と呼び、「バークシャーの回復力を損なうことなく、資本を配分する機会は間違いなく増えるだろう。私の役割は流動性水準と資本配分が意図的かつ計画的であり続けるようにすることだ」と記した。

【図表4】バークシャー・ハサウェイの現金残高が過去最高を更新
出所:各種データより筆者作成
※グレーは現金ポジション(単位:百万ドル)右目盛、赤=NYダウ(単位:ドル)左目盛

3月末時点のバークシャーの手元キャッシュ残高(現金同等物に米財務省短期証券の保有額を合わせた広義の手元資金)は、過去最高の3973億ドルに達した。株価高騰によりバークシャーにとって魅力的と考えられる投資先(大規模な買収機会)が限定されるなか、1-3月期は約81億ドルの株式を売り越した。売り越しは14四半期連続、すなわち3.5年に及ぶ。

【図表5】バークシャー・ハサウェイは14四半期連続で株式を売り越し
出所:決算資料より筆者作成

市場の大きな下落があれば「すぐに投資する」

世界金融危機時の2008年から2009年にかけて、バフェット氏は、ダウ[DOW]、ゴールドマン・サックス[GS]、GE エアロスペース(ゼネラル・エレクトリック)[GE]など5社に210億ドル以上を投じた。当時、バークシャー・ハサウェイは、巨額の資金を投資する意思と能力を持つ数少ない企業の一つだった。

3月末の米CNBCのインタビューで、バフェット氏は次に大きな市場の下落があった場合「(株式市場に)すぐに投資する」と明らかにした。また、人々が市場の動向を知っていると思っていること自体が全くもって信じられないと語るとともに、「何が起こるか分からない。だからこそ、何があっても備えておきたい。だから、常に現金と短期債を保有している」と語っている。

石原順の注目5銘柄

アルファベット[GOOGL]
出所:マネックス証券ウェブサイト
アップル[AAPL]
出所:マネックス証券ウェブサイト
コカ・コーラ[KO]
出所:マネックス証券ウェブサイト
シェブロン[CVX]
出所:マネックス証券ウェブサイト
オクシデンタル・ペトロリウム[OXY]
出所:マネックス証券ウェブサイト