異例なほどに金利差からかい離した米ドル高・円安

日米10年債利回り差(米ドル優位・円劣位)は、一時4%以上に拡大したものの、足下では2%程度まで大きく縮小した(図表1参照)。2020年以降の両者の関係からすると、120円程度まで米ドル安・円高に戻してもおかしくないところだ。しかし実際は、160円程度の米ドル高・円安になり、米ドル/円と日米金利差のかい離が拡大している。

【図表1】米ドル/円と日米10年債利回り差(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

その意味では、日米金利差からすると、足下は「異常な円安」の可能性がある。その一方で、日米金利差がこれほど縮小しても円安が続いているのは、日本の財政規律への懸念など、円に対する評価が金利差の尺度では説明できないほど、これまでになく厳しくなったという可能性もあるだろう。

金利差からかい離した米ドル/円の代表例は2015年、2020年

米ドル/円と日米金利差が大きくかい離した例は、これまでもなかったわけではない。代表的なのは2015年と2020年だろう(図表2参照)。この2つのケースでは、数年かけて両者のかい離は修正された。ただその修正は、前者が金利差に米ドル/円が追随したのに対し、後者は逆で米ドル/円に金利差が追随した。

【図表2】米ドル/円と日米10年債利回り差(2012年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

仮に前者のパターンなら、米ドル/円はこの先、「下がり過ぎ」の修正で大きく下がる見通しになる。ただ後者のパターンなら、間違っているのは日米金利差縮小であり、この先金利差が拡大に向かうことで米ドル高・円安を正当化することになる。それとも、今回の米ドル/円と日米金利差のかい離は、これまでにはなかったケースであり、このかい離はこの先も続くのか。

過去に例のない金利差からかい離の可能性=米ドル/円

2015年のケースは、2014年10月の日銀の追加緩和が「サプライズ」だったことから、金利差からかい離した円安が拡大したということだった。これに対して2020年のケースは、いわゆる「コロナ・ショック」を受けた緊急的な金融緩和に米ドル/円の下落が鈍った結果だったのではないか。

以上のような、「サプライズ」を受けた為替相場と金利差のかい離は、時間の経過とともに修正された。そうした観点からすると、今回の場合、米ドル/円と日米金利差のかい離は、何か「サプライズ」がきっかけになった感じもない。その意味では、両者のかい離の修正見通しは難しいかもしれない。