資産運用は人生の目標を実現するための「手段」に過ぎない

マネー誌で「資産1億円特集」が組まれているのを、よく目にします。資産運用で成功して資産を増やした人たちの話が掲載されていますが、果たしてそれに意味はあるのでしょうか?

資産運用に成功して資産が増えると、目標金額を1億円、2億円と、どんどん大きく設定していく人がいます。私は、リターンの大きさだけを追い求めるのはお金との正しい向き合い方とは言えないと考えています。

資産運用で忘れてはいけないのは、やみくもにリターンを上げること自体が目標ではないということです。あくまで人生の目標を実現するための「手段」に過ぎず、必要のないお金を手に入れても意味がありません。最初から、意味のない金額目標を資産運用に設定するのは、正しいアプローチとは言えません。

資産運用を始める前に人生の目標を決めるべき

資産運用を始める際、まずは人生の目標を決めることが大切です。人生の目標は、具体的な達成目標である「ビジョン」と、その集大成である「ミッション」の2つに分けられます。

「ビジョン」と「ミッション」が明確になれば、それを実現するために必要なお金が明確になり、どのような資産運用をやるべきかがクリアになります。あとは、その資産運用の目標に合った投資方法を選び、実践していけばよいのです。

資産運用から得られるリターンは目標によって「3つのゲイン」に分けて整理することができます。

最初に狙うべきは「キャピタルゲイン」

資産運用の最も基本的な方法は金融資産を使って投資する方法です。株式型のインデックスファンドを積み立てることで、株価の上昇から「キャピタルゲイン」を得ることができます。また、NISAの税制優遇枠を使えば値上がり益に対しての課税を回避することも可能です。

このような「キャピタルゲイン」を狙う投資は、少額から誰でもすぐ始めることが可能です。

ただし株式市場はボラティリティー(変動率)が大きいため、相場変動の影響を抑えるには、月次の積み立てなどを活用したドルコスト平均法で長期的に続けることが大切です。

株式に関しては、日本株、日本以外の先進国、新興国といったそれぞれの投資エリアに資金を分散することで、より安定したリターンを期待することができます。

年齢を重ねるとともに「インカムゲイン」へシフト

株式の値上がり益のような「キャピタルゲイン」を中心とした投資は、若年層には有効な投資方法です。しかし年齢が高くなるにつれ、「キャピタルゲイン」よりも安定した収入が狙える「インカムゲイン」が得られる投資対象にシフトしていくべきです。

その代表的な投資対象が不動産です。毎月の賃貸収入によって「キャピタルゲイン」よりも安定した収益が期待できます。

また、不動産投資は信用力があれば、お金を借りてレバレッジをかけることで、自己資金以上の投資も可能です。そのためには安定した収入が必要となります。一般的には、若年層よりも収入が安定しやすい40代以上の中高年層に向いた投資と言えます。

もちろん信用力があれば若年層でお金を借りて始めても良いと思います。

「ソーシャルゲイン」が人生の目標達成に必要

「キャピタルゲイン」で資産を増やし、「インカムゲイン」で安定した収入が得られるようになれば、いずれお金の不安は解消されます。

その次、3つ目の資産運用として考えられるのは、単なる経済的なリターンを求めるだけではなく、社会との関わりの中でお金に換算できない価値が得られる投資対象です。

例えば、経済的に困窮している人に対して、自分が所有する不動産を割安で貸し出す。あるいは、リゾートエリアの宿泊施設を自分自身も利用することで地元のコミュニティとの関わりを持ち、楽しみながら地域振興に貢献する。これらは社会との繋がりから経済的リターン以外のリターンを得る「ソーシャルゲイン」投資と考えることができます。

私もコロナ禍には、家賃の支払いに困っている人たちに家賃減免を行いました。また香川県で、自分が泊まりたいと思える、投資と実益の両方を目的とする宿泊施設を作っています。このように、「ソーシャルゲイン」のための活動にも取り組んでいます。

活動を通じてコミュニティとのつながりを深め、また自分自身が楽しむことでお金には換算できない価値を得ることができます。

このような投資を実践するためには、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」によって、しっかりとした経済的基盤を確立していることが必須です。

年齢とともに投資とは単にお金を増やすことではないことがわかってきます。自分に必要なお金が手に入ったら、その次のステップは、自分以外の人たちとの社会的なつながりを深めていくことです。

「キャピタルゲイン」、「インカムゲイン」、そして「ソーシャルゲイン」と投資の手法を自分に合った方法にしていくことで、クオリティー・オブ・ライフ(人生の質)を高めるお金との付き合い方を模索してみてください。