2025年10月に新たに誕生した高市政権の内閣支持率が、歴代内閣の中で3番目に高くなったと報じられています。初の女性首相ということや、就任直後のトランプ大統領との会談を初め、外交での前石破政権との対照的な姿が国民から好印象を受けた結果もあると思います。

高市政権の経済政策では「責任ある積極財政」という言葉に代表されるように、成長分野への戦略的な投資を行い、積極的な財政政策による景気浮揚を目指しています。また同時にインフレ対策も講じるのが特徴といえます。これは以前の安倍政権で行われたような積極的な財政支出を緩和的な金融政策と組み合わせる「アベノミクス」と類似した政策と考えることができます。

高市政権の「責任ある積極財政」の狙いと問題点

財政支出に関しては既に21.3兆円の景気対策を打ち出しています。内容に関しても賛否がありますが、最大の問題はその財源です。最終的には国債による資金調査という選択肢にならざるを得ません。さらに2026年度以降は軍事費の拡大も避けられない見通しです。

国債増発は長期金利の上昇を招き、日本国の信用リスクの低下につながります。積極財政と共に政策金利の引上げを遅らせ緩和的な金融政策が組み合わされると、円安要因になります。

円安は輸入品の価格上昇をもたらし国内のインフレ圧力を高めます。さらに電気代・ガス代の負担軽減策と合わせてガソリン減税も同時に検討されていますが、これらもインフレ抑制に逆効果となるリスクも指摘されています。インフレの沈静化が遅れると、経済政策に対する期待が不満に変わり、内閣支持率が低下していくかもしれません。

円安は為替介入で防げるのか

円安を阻止するためには政策金利の引き上げが最も効果的ですが、日銀は政策金利の引き上げに慎重な態度を取り続けています。また政府も利上げに関しては消極的な政策を志向しています。大幅な円安が進まない限り利上げのスピードは遅く、利上げ幅もそれほど大きくはならないでしょう。

短期的な為替相場の変動による急激な円安に対しては、利上げではなく為替介入で対応することも考えられます。しかし、タイミングを誤れば投機筋に米ドル買いのチャンスを与えるだけに終わってしまうかもしれません。為替介入だけでは円安の流れを変えることは難しいと考えます。

株価が上昇を続ける可能性

インフレ、円安、長期金利の上昇といったリスクが懸念される経済政策ですが、その結果として株価に対してはポジティブな影響が考えられます。インフレは、企業業績に対してプラスに作用しますし円安も輸出企業には恩恵があります。さらに金利上昇はメガバンクのような金融機関にとっては貸出しの利ザヤ改善が期待できるプラス材料です。

日本株は米国の株式市場のAI・半導体関連銘柄の株価動向に大きく影響されますが、国内だけを見ればプラスの要因が多いと考えられます。ただし、一部の中小金融機関にとっては保有している国債の評価損が拡大します。経営難に陥る金融機関が出てくるかもしれません。これは金融システムを不安定化するマイナス要因です。

また、日銀が保有している国債も評価損が拡大します。これも金融システムにはマイナスの影響を与えるリスクファクターとして押さえておきましょう。

日本の個人投資家がやるべきこと

高市政権による経済政策は、円安・インフレ・株高をもたらし、長期金利も上昇するというのが私の予測です。とすれば、日本の個人投資家は外貨比率を高め、インフレに強いポートフォリオを構築し、株式の保有比率を高めるべきということになります。

インフレに強い資産とは、株式だけではなく、不動産、金(ゴールド)なども含まれます。また、インフレにはお金を借りることも有効な対策となります。お金が借りられる人は借りておいた方がインフレのリスクヘッジになります。

一方で円の預貯金だけを保有している多くの日本人にとっては保有する資産の実質価値を下落させる厳しいものになるでしょう。そして資産運用を実践する人と実践しない人の経済格差を拡大することになります。1人でも多くの日本人に早く資産運用の大切さに気が付いてほしいと思います。