1月は主要指数がそろって上昇するも、2月2日には大きく下落

2026年の幕開けとなった1月の中国株式市場は、主要指数がそろって上昇しました。上海総合指数は昨年末比+3.8%、香港ハンセン指数は同+6.9%の上昇(1月30日終値)となり、2025年の低迷からの反発を期待させるスタートとなりました。しかし、2月2日には大きく下落しており、ボラティリティの高い展開が続いています。

株価が堅調に推移した一方で、1月末に発表された経済指標は、中国経済が依然として深刻な課題を抱えていることを浮き彫りにしました。中国国家統計局が1月31日に発表した2026年1月のPMIは、製造業・非製造業ともに好不況の分かれ目となる50を下回る結果となりました。製造業PMIは49.3(前月比▲0.8ポイント)となりました。生産指数は50.6と拡張圏を維持したものの、新規受注指数が49.2に落ち込みました。

これは、生産活動に対して需要が追いついていない状態にある「需要不足」の状況を示唆しています。特筆すべきは企業規模別の格差です。大企業が堅調さを維持したのに対し、中企業、小企業は低迷しており、中小企業の経営環境が厳しさを増しています。一方で、価格面では原材料購入価格指数と出荷価格指数が上昇しており、企業の採算環境には改善の兆しが見られます。

経済の下押し圧力となっている不動産市場

金融・保険業の指数は好調

非製造業PMIは49.4(前月比▲0.8ポイント)となり、非製造業も2ヶ月ぶりに50を割り込みました。内訳を見ると、不動産業界の不況が深刻で、指数は40を割り込む低水準が続いています。建設業も寒波や春節前の休業影響で低下しました。金融・保険業の指数は65超と好調なのが救いですが、不動産不況がサービス業全体の重しとなっています。

1月19日に発表された2025年の主要統計によると、実質GDP成長率が5.0%となり、政府目標である「5%前後」を達成しました。しかし、四半期ベースで見ると1-3月期の5.4%から10-12月期には4.5%へと減速しており、2025年後半にかけて景気の勢いが失われたことがわかります。

経済の下押し圧力となっている最大の要因は、間違いなく不動産市場です。2025年の不動産開発投資は前年比17.2%減、新築販売額も12.6%減と大幅なマイナスを記録しました。これにより、固定資産投資全体も3.8%減となり、市場予想を下回る結果となりました。

中国経済は「量」から「質」への転換期

また、人口動態も悪化の一途をたどっています。2025年末の総人口は前年比339万人減少し、出生数は792万人まで落ち込みました。急速な少子高齢化と人口減少は、中長期的な内需縮小懸念を強めています。

一方で、明るい材料もあります。鉱工業生産は前年比5.9%増と堅調で、特にハイテク製造業は9.4%増と全体を牽引しました。3Dプリンター、産業用ロボット、新エネルギー車などの「新質生産力」に関連する分野が高い伸びを示しており、中国経済が「量」から「質」への転換期にあることを裏付けています。

2026年の展望:第15次5ヶ年計画と「新質生産力」

不動産依存からの脱却と産業構造の高度化を図る

国家統計局は、2026年が「第15次5ヶ年計画(2026~2030年)」の初年度に当たる重要な年であると強調しています。今後の経済運営のキーワードは、引き続き「消費主導」と「新質生産力」です。

当局は、AI(人工知能)、量子技術、NEV(新エネルギー車)などの先端技術への投資を加速させ、不動産依存からの脱却と産業構造の高度化を図る方針です。1月のPMIでもハイテク製造業は52.0と高水準を維持しており、この分野が経済の下支え役として機能しています。また、消費刺激策として「以旧換新(買い替え促進)」政策の継続や、超長期特別国債を用いた財政出動も示唆されており、これらが冷え込んだ内需をどこまで底上げできるかが焦点となります。

上海総合指数は年始以来の安値を更新

1月の株価上昇は、こうした政策期待や、2025年の下落による値ごろ感を背景にしたものと考えられます。しかし、足元のPMIが示す通り、実体経済における「需要不足」と「不動産不況」は依然として深刻です。

ハイテク分野などの「新しい成長エンジン」が軌道に乗りつつある一方で、不動産という「古いエンジン」の逆回転が止まらないのが現在の中国経済です。投資家としては、政府による強力な財政・金融政策が継続的に打ち出されるか、そしてそれが実需(特に不動産販売と個人消費)の回復に結びつくか、慎重に見極める必要があります。

2月2日の株価は、弱い経済指標(PMI)と、金・銀など商品相場の急落を嫌気し、全面安の展開となりました。上海総合指数は年始以来の安値を更新しています。当面は政策ニュースと経済指標の結果に一喜一憂するボラティリティの高い相場展開が予想されます。