2025年の躍進と2026年の新たな景色

2025年の香港・中国株式市場は、投資家にとって記憶に残る1年となりました。香港ハンセン指数は、一時は27,300ポイント台まで上昇する場面もあり、2025年末にかけてやや調整したものの、年間では約28%の上昇を記録しました。これは上海総合指数の約18%高を大きく上回るパフォーマンスであり、長らく続いた低迷期からの脱却を強く印象づけました。そして迎えた2026年、市場の焦点は明確です。「ハンセン指数は心理的な節目である30,000ポイントを回復できるか」これに尽きるでしょう。

足元では、CSI300指数が2024年の高値を更新し、上海総合指数も2015年以来の高水準にあるなど、本土市場からの追い風も強まっています。2026年のハンセン指数について、金融各社の見通しは「27,500~31,000ポイント」のレンジに集まっています。

この強気な見通しを支えるのが、「中国当局による強力な景気刺激策への期待」です。デフレ圧力の払拭と経済再生に向け、財政出動や金融緩和を含む政策が総動員されるとの見方が市場のコンセンサスとなりつつあります。これまでくすぶっていた不動産市況や個人消費の停滞に対し、国策として強力なテコ入れが入ることで、内需が力強く押し上げられるシナリオです。企業の収益環境そのものが、政策主導で好転していくという期待感が、市場のバリュエーションを切り上げる原動力となるでしょう。

市場を牽引する最大のエンジン:中国発「AI革命」

2026年の相場を語るうえで欠かせないもう一つの要素が、AI(人工知能)の存在です。 これまでの「期待先行」のフェーズから、実益を伴うフェーズへと移行しています。2025年は、中国のAIスタートアップ「DeepSeek」などの技術的な躍進が話題となり、生成AIに関連するサプライチェーン全体に資金が流入しています。

上海のMiniMaxなどの上場も、市場のセンチメントを明るくしています。AIによる生産性向上と利益貢献が可視化され始めたことで、ハイテク株や半導体関連株は、単なるテーマ株ではなく「実績株」として評価され始めています。

2026年の投資戦略

以上の環境を踏まえると、2026年の香港・中国株投資は、以下の2つの軸を持つことが有効と考えられます。

「景気刺激策 × テクノロジー」の恩恵を受けるハイテク株

まず主力となるのは、「景気刺激策 × テクノロジー」の恩恵を受けるハイテク株です。具体的にはテンセント(00700)やアリババ集団(09988)といったプラットフォーマーです。これらはAI技術の進化に加え、景気刺激策による国内消費の回復が広告収入やEC事業の収益増に直結するため、政策と技術の両面から再評価が進むと考えられます。また、自動運転の元年として期待される地平線機器人(09660)などの先端技術株も注目できると思います。

高配当銘柄やインフレヘッジとしての資源株も妙味あり

一方、高配当銘柄&コモディティにも注目できます。 相場のボラティリティ(変動)に備え、高配当銘柄や、インフレヘッジとしての資源株も妙味があると思います。特に、景気回復局面での需要増と価格上昇の恩恵を受ける紫金鉱業集団(02899)などの銅・金関連や、原油採掘量が拡大している中国海洋石油(00883)、総合金融の中国平安保険(02318)などは、引き続き注目の対象となるでしょう。

2026年は、中国・香港市場にとって「復活」から「飛躍」への転換点となる可能性を秘めています。もちろん、米国の金利動向や地政学リスクといった変数は残りますが、強力な景気刺激策への期待を背景に市場に流動性が戻り、投資家のセンチメントが「リスクテイク」に傾いている事実は見逃せません。ハンセン指数30,000ポイントへの道筋は、決して平坦ではないかもしれませんが、政策支援とAIという強力なエンジンが、その頂(いただき)への推進力となると考えます。今年は指数全体の上昇を享受しつつも、銘柄ごとの選別眼がより問われる「実力相場」の1年となりそうです。