1月の振り返り=日米「レートチェック」きっかけに円高へ急反転

159円から152円割れ近くまで米ドル安・円高へ戻す

1月の米ドル/円は上昇トレンドを維持し、160円の大台に迫る展開となりました。ただ1月23日に、通貨当局が為替市場に介入する前段階として行われることが多い「レートチェック」の観測が広がったことをきっかけに米ドル安・円高に転換しました。

さらに、一般の予想に反し、米国の通貨当局も「レートチェック」を行ったとの観測が流れると、日米が円安阻止で協調行動することへの警戒感が広がり、米ドル安・円高は一時152円割れ寸前まで急拡大しました(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2025年11月~)
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/米ドルは約半年続いたレンジ「上放れ」=米ドル安の「先行指標」

このような米ドル安は、円以外の通貨にも波及しました。ユーロ/米ドルは過去半年程度、1.15~1.18米ドルといった狭いレンジで小動きが続いていましたが、それをユーロ高・米ドル安方向にブレークしました(図表2参照)。

【図表2】ユーロ/米ドルの週足チャート(2025年1月~) 
出所:マネックストレーダーFX

これまでも独米金利差(ユーロ劣位・米ドル優位)は縮小傾向が続き、金利差縮小の割にユーロ高・米ドル安が足踏みしたようになっていました(図表3参照)。今回のユーロ高・米ドル安方向へのレンジ・ブレークにより、金利差変化に追随するようにユーロ高・米ドル安が広がるかは注目されるところです。

【図表3】ユーロ/米ドルと独米金利差(2025年6月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そして、ユーロ/米ドルが上記のレンジ上限である、1.18米ドルにサポートされて一段のユーロ高・米ドル安に向かうかは、米ドル/円も含めた米ドル安に向かう動きの「先行指標」として注目されるのではないでしょうか。

円高要因は限られる=金利差縮小に一巡感、日本の財政懸念続く

日米「レートチェック」をきっかけに大きく米ドル安・円高となりましたが、米ドル/円単体で見た場合、さらなる米ドル安・円高の可能性は限られるのではないでしょうか。これまで続いてきた日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小には、米利下げの一段落などにより一巡感があります(図表4参照)。これまで見てきたようなユーロ高・米ドル安がどこまで米ドル/円にも波及するかが、さらなる米ドル安・円高の鍵を握るのかもしれません。

【図表4】米ドル/円と日米金利差(2025年9月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

この間の米ドル高・円安要因とされてきたのは、日本の財政リスクへの懸念を受けた長期金利上昇でした(図表5参照)。1月8日予定の衆院選挙では、与野党ともに消費税減税を公約とするなど、財政懸念は後退するどころか、むしろ一段と拡大する可能性もありそうな状況が続いています。このため、もし円高の進行が足踏みするようなら、この財政懸念が円安再燃のきっかけになる可能性はまだ残っているでしょう。

【図表5】米ドル/円と日本の長期金利(2025年11月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

2月の注目点=円暴落回避姿勢、衆院選後に変化はないか

「レートチェック」後の円高も152円で一段落か

1月23日の日米「レートチェック」をきっかけに一時152円まで米ドル安・円高となりましたが、その後実際の米ドル売り・円買い介入は日米ともに行っていなかったことが確認されると米ドル高・円安に戻る一因となりました。

また1月30日に、トランプ大統領が次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長にウォーシュ元FRB理事を指名するとの報道が流れると、過度な金融緩和懸念が後退したとして、さらに155円近くまで米ドル高・円安が進みました。以上のように、日米「レートチェック」をきっかけとした米ドル安・円高も、とりあえず一巡した感じがあります。

今回の「レートチェック」には、衆院選挙前の円暴落が高市政権へのダメージになることを避ける狙いがあったのではないでしょうか。そうであれば、少なくとも投票日までは160円を超える円安阻止の方針が続きそうです。ただし衆院選挙終了後、そういった円安阻止姿勢が変わらないかは注目する必要があるのではないでしょうか。

円安要因と米ドル安要因が綱引き=2月の米ドル/円は151~161円で予想

一方、対ユーロなどでテクニカルに米ドルが「下放れ」となった動きが「ダマシ」なのか否かの見極めも注目です。仮に米ドル安が新局面に入り、一段と広がるようなら、それは米ドル高・円安も抑制する要因になる可能性があるでしょう。やや不安定な動きになってきた米国株が下落を本格化させるようなら米ドル安を後押しする可能性が高まるでしょう。

以上を踏まえると、2月は円安要因と米ドル安要因の綱引きの状況が続きそうです。それを踏まえ、2月の米ドル/円は151~161円で予想したいと思います。

今週(2月2日週)の米ドル/円は152~156円で予想

今週は、2月8日に予定されている衆院選投票日の直前の週となります。今のところ、与党優勢で、自民党は単独過半数を回復する勢いとの報道が多いようです。これを受けて高市政権による積極財政への期待で株高となった場合でも、積極財政への懸念で債券下落し、長期金利が上昇となった場合でも、いずれも円売り再開の口実になる可能性はあるでしょう。

「レートチェック」をきっかけに米ドル/円が急落し、2025年10月の高市政権誕生から続いた上昇トレンドをブレークしました。さらにその翌営業日には、155円台後半でいわゆる「窓開け」スタートとなりました。以上から、米ドル買い・円売り再開となった場合、テクニカルにはこの「窓」155円台後半を超えられるかが分岐点となるでしょう。

すでに述べたように、「レートチェック」は、衆院選挙前の円の暴落回避が最大の目的だった可能性があるので、その意味では今週は円売り再開となっても、上述の「窓」を大きく超えられない程度にとどまるのではないでしょうか。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は152~156円で予想します。