2026年1月9日(金)日本時間22:30発表
米国 12月雇用統計、他
【1】結果:失業率は改善も全体としては弱含みが続く状況
2025年12月の非農業部門雇用者数は前月比5万人増と市場予想(7万人増)を下回った一方で、失業率は4.4%と前回11月から0.1%ポイント低下し、強弱が入り混じる内容となりました。
雇用者数においては、やはり下落トレンドが継続していることがうかがえます(図表1-1)。2025年10月・11月のデータが従来よりも合計76,000人下方修正され、3ヶ月移動平均にて雇用者数のトレンドをみると12月は2万2,000人減とマイナス圏での推移となっています。外れ値の影響を除いた平均と比較しても、その水準を下回っています。
詳細を見ると、12月は製造業の雇用者数減少が全体を下押しし、医療・教育サービスも伸びが鈍化しました。医療・教育を除くサービスはセクターごとにまちまちとなりましたが、小売や卸売業の弱さが目立ちました。政府部門は1万3,000人増となるも政府閉鎖が実施された2025年10月から回復しきれていないことがうかがえます(図表1-2)。
失業率は小数点以下2位までの数値では、4.38%と前回11月から0.16%ポイント低下しました(図表2-1)。
低下に寄与したのは、理由別に見た失業者における「再入者(過去に就労経験はあるが、現在の求職活動を始める前に一定期間労働力に加わっていなかった失業者)」の減少が主な理由として挙げられます(図表2-2)。直近では、この再入者が増加傾向であった中、12月は伸びが減少しました。
【2】内容・注目点:先行きの労働指標は一進一退で推移か
米国の労働市場は、依然弱いと評価しています。失業率の改善は安心感を与える内容でしたが、図表1-1にあるように、先々における雇用の低下基調が失業率の上昇につながっていくといった懸念はくすぶります。図表3はISM非製造業景気指数の雇用動向と、主要連銀のサービス部門サーベイにおける雇用動向指標を合成した指数です。これをみると、連銀の調査や企業の担当者の評価からは、雇用は伸び悩んでおり、最新データでも目立った改善している様子は見られず、雇用の改善には時間がかかるものと推測されます。
ただ、FRB(米連邦制度理事会)は労働市場の悪化を防ぐ、予防的なアクションとして3会合連続で利下げを進めてきました。利下げによる労働市場の下支え効果が次第に現れ、先行きにおいて大きく崩れるケースは限定的でしょう。実際に雇用のセンチメント指標(先行き3ヶ月における雇用計画)と求人数をみると、2指標は相関が確認でき、雇用センチメントは一時期よりも改善の兆しが見られます(図表4、赤丸)。
一方で、直近でもみられる移民の純減やAIによる代替といった構造的な変化が雇用の伸び悩みに寄与する可能性は否定できず、金融環境と労働市場の小僧要因が相殺しあって当面の労働指標は一進一退で推移していく想定をしています。
【3】所感:2026年1月のFOMCでは政策金利据え置きの公算 政治リスクが懸念事項
本稿執筆時点(1月13日)では、2026年1月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを市場は見込んでおらず、据え置きが想定されている状況です。労働市場が目立って悪化していないこともあり、いったんは様子見との見方でしょう。別の問題として、パウエルFRB議長がFRB本部の改修工事を巡って司法省による刑事捜査対象となったことが明らかとなりました。パウエル議長の任期は2026年5月までですが、早期の交代も意識せざるを得ない状況と言えます。
個人的には米国の政策金利がビハインド・ザ・カーブに陥っているとは考えていないものの、先行きについては政治的なリスクからFOMCメンバーが変容し、早期の利下げ可能性も大きくないものの考えられる局面と言えるでしょう。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
