モトリーフール米国本社 – 2026年1月5日 投稿記事より

「ダウの犬」戦略:ダウ平均の高配当銘柄トップ3を検証

配当投資家は、常に新しい投資機会を探しています。投資アイデアを生み出す古くからの戦略のひとつに、「ダウの犬(the Dogs of the Dow)戦略」と呼ばれるものがあります。このアプローチは、ダウ工業株30種平均構成銘柄の中で最も利回りの高い銘柄に投資するものです。多くの投資家にとって、このアプローチはやや機械的すぎるかもしれません。しかし、指数の中で最も利回りの高い銘柄を定期的に確認すること自体は、十分に価値があると言えるでしょう。

現在、ダウ平均の高利回り銘柄トップ3は、6.8%という非常に高い利回りを誇るベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、4.5%という魅力的な利回りのシェブロン[CVX]、そしてやや控えめな3.2%の利回りのメルク[MRK]です。以下では、それぞれの銘柄についてみていきましょう。

1.    ベライゾン[VZ]は様子見が妥当、配当の継続に留意性

配当投資という観点では、ベライゾンの配当利回りは注目に値します。過去10年間、ベライゾンの配当はわずか22%しか伸びていません。比較対象として、小売業のコストコ・ホールセール[COST]の配当は、同期間に約225%増加しています。もっとも、ベライゾンの利回りが6.8%であるのに対し、コストコの利回りはわずか0.6%です。過去の実績を参考にすると、今ベライゾンを購入した場合、リターンの大半はこの高い配当利回りによるものになる可能性が高いでしょう。

ただし、ベライゾンへの投資を検討する前に留意すべき重要な課題がいくつかあります。まず、同社は設備投資に多額の資金を必要とする業界で事業を展開しており、バランスシート上に多額の負債を抱えています。この状況は近い将来に大きく変わりそうにありません。

そのため、電気通信事業から得られる年金のような安定収入を得ているとはいえ、成長は緩やかなものになるのが一般的だと考えられます。加入者数を維持するためには、投資を止めるわけにはいかないのです。

さらに大きな懸念は、配当の継続性です。なお、これは現在支払っている配当の継続が難しいという意味ではありません。

同社は最近、成長力の強化を任務とする新しいCEOを迎えました。新CEOが、他の目的に使う資金を確保するために、取締役会に対して配当の見直しを提案する可能性もあります。そのため、保守的な配当投資家は、新CEOが指揮を執る期間、もうしばらく様子を見た方がよいでしょう。

2.シェブロン[CVX]が、エネルギーセクターで魅力的と考えられる2つの理由

シェブロンは価格変動の激しいエネルギーセクターで事業を展開しており、素晴らしい配当実績を維持しています。38年間連続増配を続けているシェブロンは、このセクターで最も信頼できる配当銘柄の一つです。エネルギー分野へのエクスポージャーを求めるなら、シェブロンは堅実な選択肢と言えるでしょう。

主な理由は2つあります。第一に、同社がエネルギー生産、エネルギー輸送(パイプライン)、化学品や精製事業といった、エネルギー産業全体に分散して事業を展開している点です。これはエネルギー・サイクルを通じて、業界の各事業がわずかに異なった動きをするため、不安定な原油や天然ガス価格による変動を軽減するのに役立ちます。

第二に、シェブロンは強固なバランスシートを有しており、現在の負債資本倍率(D/E Ratio)はわずか0.22です。これにより、業界が低迷している局面では借り入れを活用して事業や配当を支え、エネルギー価格が回復するまで持ちこたえることが可能です。歴史的に見ても、エネルギー価格は必ず回復してきました。

エネルギーは世界にとって不可欠な存在であり、ほとんどの投資家はこのセクターにある程度の投資を検討したほうがよいと考えられます。そのため、現在の4.5%という高い配当利回りも含めてシェブロンはエネルギー分野への投資先として魅力的でしょう。

3.メルク[MRK]は、配当とリスクリターンのバランスが取れた銘柄

最後に紹介するのは、製薬大手のメルクです。3.2%の配当利回りは特に高いものではありません。医薬品分野ではもっと高い配当利回りの銘柄があります。しかし、そのような銘柄のほとんどは配当性向も高くなりがちです。一方で、メルクの配当性向は45%程度と、妥当な水準にあります。これは、現在の状況において重要なポイントです。

多くの同業他社と同様に、メルクも特許切れという問題に直面しています。新薬には一定期間の特許保護が付与され、その間、製薬会社は高い利益を得ることができます。その目的は、製薬会社が新薬の発見と開発にかかる高いコストを回収するための仕組みです。しかし、特許が切れると、ジェネリック医薬品の出現によって利益が激減することがあり、これは「特許の崖(Patent Cliff)」と呼ばれる現象です。

特許切れの時期が近づいていることで、投資家の間ではメルクが崖っぷちに立たされる前に新薬を開発できないのではないかという懸念があります。しかし、高利回りの同業他社とは異なり、メルクの配当性向は妥当な水準にあるため、減配の判断に至るまでには配当面でかなりの余裕があります。

医薬品セクターへの投資を検討するならば、メルクは配当とリスクリターンのバランスが取れた銘柄と判断できそうです。実際、メルクはこれまで何度も同じような局面を経験しながら、競争の激しいセクターの中で成功を収めてきました。

ダウ平均の高配当上位3銘柄の投資検討の優先度について

ダウ平均の高配当上位3銘柄をあらためて俯瞰すると、シェブロンとメルクはおそらく現時点では投資を検討する価値がありそうです。しかし、ベライゾンは新CEOが今後の配当方針をどのようにするかが現時点では明確ではないため、ベライゾンに関しては、CEO交代後の新たな方針が明確になるまでは、様子見が妥当でしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Reuben Gregg Brewerは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はシェブロン、コストコ・ホールセール、メルクの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はベライゾン・コミュニケーションズを推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。