今回は2026年の相場展望をお送りします。
2025年のBTC(ビットコイン)は「半減期翌年の上昇相場」として、4年サイクルの中でも特に期待が大きかった年でした。しかし現状、BTCは年足でみると陰線圏で推移しており、市場には落胆ムードも広がっています。マーケットのピークは2025年10月上旬だったとの見方が強く、筆者自身もピークがここまで前倒しになるとは想定していませんでした。
ただし、ここで重要なのは「ピークが早かった」という事実は、往々にしてボトムも早まる可能性を示唆する点です。投資家が強く意識しているアノマリーやサイクルといった“共通認識”は、実際には想定よりも早く起こったり、あるいは大きく崩れたりするものです。
今回は2026年の相場予想に加え、ボトム時期を意識した分析を中心に整理します。結論として筆者は、年明けから動けるように考えておくことが重要だと考えています。
以下に分析をまとめます。本稿は円建てではなく、ドル建て(BTC/USD、ETH/USD)での分析です。
BTC(ビットコイン)は乱高下を繰り返しながら「底固め」を進める値動きか?
BTC/USDの週足分析:下値の目安は、5万ドル台後半~6万ドル前半
BTC/USDの週足分析です。まず、筆者が強く意識している下値の目安は、5万ドル台後半~6万ドル前半のゾーンです。過去データとオンチェーン指標を参考にしつつ、流動性環境も含めた総合判断として、2026年は主に以下の2パターンを想定しています。
・パターン1 200週移動平均線(橙)で下げ止まり、反発するケース
・パターン2 200週線を一時割り込むが、揉み合いを挟んで反発するケース(2022年型)
パターン1:赤矢印 → 青矢印(ポジティブ寄り)
理由は明快で、2022年の下落局面を除けば、BTCは誕生以来、200週線を明確に割り込む局面が多くはなく、下値の要所として機能してきた経緯があります。加えて今回は、そもそも上昇局面が過去サイクルほど「過熱」しきらなかった点も踏まえると、200週線でサポートされる可能性は相応に高いとみています。
この場合、青矢印のように一度下げ止まりを確認した後、時間をかけて高値圏へ回帰していく展開を想定します。ボトム形成は2026年4~9月を中心に意識し、年末にかけては10万ドル方向へ回復するシナリオです。
しばらく低迷が続く想定にはなりますが、裏を返せば「ボトム圏で推移する期間は、残り6~9ヶ月程度に圧縮される可能性がある」ということでもあります。つまり、年明けからの積立や買い下がり戦略は十分機能しうる、と考えています。
パターン2:赤矢印 → 赤矢印(2022年型)
続いて、赤矢印 → 赤矢印で示したパターン2です。これは、200週線を一時割り込みながらも反発する形状を想定しています(2022年に近い値動き)。このケースでは、高値から55~60%程度の下落も視野に入れ、投資家心理が冷え切ったところで段階的に仕込むイメージです。
いずれのシナリオでも、現時点では「上昇一辺倒」ではなく、下方向のリスクを丁寧に織り込む局面だと捉えています。
BTC/USD 日足チャート: 週足よりももう少し早めにポジティブな値動きが出る可能性も
次に、BTC/USDの日足分析です。週足ほど悲観一色ではなく、もう少し早めにポジティブな値動きが出るパターンも考えておきましょう。
ポイントは、過去の傾向として、200日移動平均線(橙)を割り込んでクローズした後、おおむね3ヶ月以内に一度はその水準まで回復する場面が多いことです。2022年の下落局面でも、この「戻り」は例外ではありませんでした。
現在はすでに割り込みから約2ヶ月が経過しており、アノマリー的にはあと1ヶ月以内に回帰する期待も残ります。この場合のイメージとしては、先に8万ドルを割り込み、下方向のストップ注文を一度消化し切った後に、反発へ転じる展開です。
具体的には、
1. 8万ドル割れ → 下ヒゲを伴う反発
2. 10万ドル付近まで回復
3. 再び大きく反落
といったように、乱高下を繰り返しながら「底固め」を進める値動きを想定します。落ち着いたトレンドが戻るには、もう少し時間が必要になる可能性が高いでしょう。
ETH(イーサリアム)は下値を割り込んで大幅上昇か?
続いてETH/USDの日足分析です。ETHも基本的にはBTCに連れ高・連れ安しやすい構造は変わりません。目先はサポートを一度割り込み、その後大きく反発して200日移動平均線まで回帰する展開を想定しています。
ETHは11月初旬に200日線を割り込んでクローズしました。過去の傾向に照らすなら、回帰のタイミングとしては2026年2月上旬あたりまでに戻るような値動きが一つの目安となるでしょう。
安値の深さは読みづらいものの、BTCが8万ドル割れで下ヒゲを作って戻すような展開を想定するなら、ETHも割り込むにしても短期間で終わる可能性があります。一方で、2,600ドル割れにはストップロス注文が集まりやすく、需給の崩れ方次第では2,100ドル付近までの下押しも想定しておきたいところです。
ただし、足元はショートポジションも積み上がりやすい局面であり、反発局面では買い戻しが入りやすい点も重要です。そのため、いったん下押しした後は、再び2,600ドル近辺(レジサポ転換が意識される水準)まで戻しやすい、と予想しています。さらに200日線までの反発局面があると、3,200~3,400ドル付近までの上昇局面すらあると予想します。
筆者はもうしばらくネガティブ目線を維持しつつも、2026年第1四半期にかけて急反発の局面が訪れるチャンスもあるとみています。
2026年の懸念材料と戦略
金融市場では、AI株の過熱感が意識されているでしょう。過熱が語られ始めてすでに1年近くが経過していますが、それでもなお金融緩和期待が相場の下支えとなり、上昇意欲は残っているように見えます。
その一方で、筆者が強く警戒しているのは、地政学リスクの「飛び火」です。個人的には、いわゆる「台湾有事」が一定レベルでエスカレーションし、台湾・日本・中国・米国・韓国の緊張感が一段と高まった場合、半導体装置産業を含め、GPUの供給網に大きな影響が出るリスクがあると考えています。
これはAI関連株が大きく崩れる「引き金」になり得るかもしれません。短期的にも起こり得るリスクとして、頭の片隅に置いておく必要があります。
そして、そのことは、株式市場だけでなく暗号資産市場にとってもネガティブなタイミングになり得るでしょう。ただし、裏を返せば、恐怖が最大化した局面は、歴史的に「最高の買い場」になりやすいのも事実です。したがって、戦略としては「起こらないことを祈る」だけではなく、起きた場合に買える準備まで含めて構えておきたいところです。
また、2026年は米国の中間選挙の年でもあります。トランプ政権が暗号資産投資家の支持を意識するなら、どこかのタイミングで政策面・発言面の「材料」が出てくる可能性はあります。筆者は、それらが動き出すのは春以降ではないかとみています。2024年の選挙活動でも、空気が一段変わったのは5月以降でした。リップサービスも含め、この時期から期待が高まりやすいと想定します。2025年10月上旬がピークだったとすれば、ボトムも前倒しになり得ます。
つまり、想像以上に長い「冬」が続くとは限りません。だからこそ、準備を整え、年初から暗号資産への投資をスタートするくらいのスピード感が重要だと考えます。次の大きな上昇サイクルに備え、最高の買い場が訪れる可能性がある2026年を想定しつつ、冷静に仕込みの戦略を組み立てたいところです。
