ヘッジファンド円買いポジション、11月中旬にかけてほぼ解消の可能性
ヘッジファンド(以下ヘッジF)の取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、いわゆる「シャットダウン」の影響で更新が遅れていたが、11月18日時点で3.1万枚の買い越し(米ドル売り越し)だったところまで分かってきた。同買い越しは、4月末には17.9万枚と空前の規模に拡大したが、その後為替相場で米ドル高・円安が進む中、縮小に転じた(図表1参照)。その上で、これまで明らかになっている限りでは、ヘッジFの米ドル売り・円買いポジションも、11月中旬にかけてほぼ解消された可能性がありそうだ。
このようなCFTC統計の投機筋の円ポジションと米ドル/円のチャートを重ねると、両者はかなり高い相関関係が続いてきたように見える(図表2参照)。これを見ると、4月に139円まで米ドル安・円高となったのは、ヘッジFによる空前の規模の円買い拡大が主導した可能性がある。その一方で、11月157円までの米ドル高・円安へ戻る動きは、ヘッジFの円買いポジション見直しに伴う円売りもかなり影響したのではないか。
金利差で説明できない円安、ヘッジファンドの損切りの円売りも影響の可能性
2025年の米ドル/円の動きは、特に5月頃から日米金利差縮小から大きくかい離して米ドル高・円安が広がる異例の展開となった点が大きな特徴の1つだった(図表3参照)。日米金利差縮小にもかかわらず、米ドル高・円安をもたらした要因は何だったのか。これまで見てきたことからすると、その1つはヘッジFの空前規模に拡大した円買いポジション見直しに伴う円売りだった可能性があるのではないか。
今のところの米ドル高・円安のピークは11月20日の157.8円。それはこれまで明らかになっている限りにおけるヘッジFの円買いポジションがほぼ解消されたタイミングと一致している。
157円までの円安=日本の財政規律懸念の資本流出とヘッジファンド損切り影響か
11月にかけての157円までの米ドル高・円安は、日本の長期金利上昇(債券価格下落)とも連動していた。このため日本の財政規律への懸念に伴う資本流出が円安の大きな背景との見方が有力になっている(図表4参照)。
ただそれに加えて、円安を後押しした一因として、今回見てきたヘッジFの円買いポジション見直しもあったのではないか。そしてそれに伴う円売りは、11月下旬にかけて峠を越えた可能性も出てきたようだ。
